
ウォルターの具合が順調に回復している。もう感謝の言葉もないくらいだ。
AIHA(Autoimmune Haemolytic Anaemia自己免疫性溶血性貧血というらしい)はPrimaryとSecondaryがあるそうだ。で、Secondary、つまりウィルスなど何かが原因で起きた場合は回復の可能性も高いとのこと。
確かにウォルターは具合が悪くなりはじめにウィルス感染による流感を示唆する症状があり、また、Lungworms(肺線虫というらしい)の存在を示唆する咳も数ヶ月前からあった。どれが本当の原因かをつきとめるのは難しが、確かにSecondaryっぽい、といわれればそんな感じがしないでもない。
ところで。
彼はロンドンに住むある友人カップルを家族の一員だと思っている。子犬のときに会っているので潜在意識にファミリーとして刷り込まれれいるようだ。いつどこで待ち合わせをしても他の人たちに対する反応とはまるで異なり、3オクターブくらい高いピッチで(ロンドンの駅やBorough Marketのど真ん中でもおかまいなしに)「きゃひきゃひきゃひ~!」と喜びのおたけびをあげる。結構笑える。
で、今回は彼の回復を祝ってこの友人カップルがBermondsey Streetにあるペットショップ
Holly & Lilでウォルターが気に入ったものを買ってあげようと提案してくれた。
再びウォルターを連れてロンドンへ出向くことはもうないとすっかり悲劇にひたっていただけに、電車に乗っておとなしく座っているウォルターを見ると目頭に熱いものがこみあげてくる。普通の幸せとは本当にこういうことをいうに違いない。友人カップルと駅で待ちあわせをする。病気のせいでやや活気の欠けた、それでもかなりピッチの上がったきゃひきゃひ~のgreetingを済ませたあと、早速皆でBermondsey Streetに向かう。
このLondonのBermondseyというところはごく最近まではただのがらが悪い下町だったそうた。いまでもストリートによってはその面影がしっかり残っている。そしてこのBermondsey Street自体も別になんてことのないただの通りだったらしい。
ところが今はこのBermondsey Streetはすっかりおしゃれでトレンディーなストリート。金融街のシティに歩いて通勤できる地域という事実に加え、鶏/卵の世界でどちらが先かはわからないが、いつからかゲイやゲイカップルが移り住むようになり、その人口が次第に増え、男性のゲイカップル=高収入共働き&子供がいない=ペットを飼う=おしゃれなレストランやバーにペットを連れて行きたい…という流れで、このストリートにあるレストランやバー/パブはフランス並みに犬OKとなったのだそうだ。
あなたもこの通りを歩けば私が何を言っているのかすぐにぴんとくると思う。
で、Holly & Lil。
普段の私だったら「ふざけるのもいい加減にしましょう、世の中にはもっとお金をかけるべきことは沢山あるはずです」と憤慨しまうような、ペット自身のwelfareというよりは飼い主の自己満足でお金が落ちているというお店。
でもいい。いいの。今日だけはペットをばかかわいがりする飼い主になるの、と堅く決意して商品を吟味しはじめる。Devon産の手作りのクッキーと鹿肉の缶詰、そしておもちゃを友人カップルに買ってもらうウォルター。
私といえば、このチャイニーズサテンの首輪を買ってあげようかと真剣に考えはじめ、ウォルターに似合うかどうか「試着」してみる。しかしながら、うちの犬はシェルティーで、しかも並々ならぬ毛深さ。たとえダイヤモンドをちりばめた首輪を買えたとしても、まず全然見えない。毛ですっかり隠れてしまう。
あーだ、こーだ悩んでいるうちになんだか少しばからしい気がしてきた。
食い意地のはったウォルターは首輪がサテンだろうと高級イタリアン革だろうと、そんなことはおそらくどうでもよく、美味しいものを沢山食べれれば(そしてもちろん沢山散歩に出かけられれば)それがいちばん幸せなのではないだろうか…という気がしてきた。
ということで、結局なんちゃら味のばか高いドライフードと違う種類のDevon産の手作りビスケットを買ってあげることに決めた。さらにウォルター自身がとても欲しがった歯の健康にとてもよいという硬いゴムみたいな物質を購入してあげることに。
ウォルターはこの上なく満足している…ようだ。
Pezarroで羊の脳みそと舌のランチを食べ(や、ウォルターじゃくって私たち)、友人宅へ訪れる前に公園で用足しをする(や、私たちじゃなくてウォルター)。
子犬を連れたバイカーっぽいゲイカップルたちと公園で話しこむ。私たちのショッピングバッグを見て、「Holly & Lil?一番安い首輪でも55ポンドって噂だよ、僕らは絶対に行かないなぁ!」と驚かれる。
うーんそれが普通の反応だよな、と思いながら2週間前の九死に一生のエピソードを説明し、その回復のお祝いなんだと説明する。
犬連れのBermondseyのゲイカップルといっても皆が皆金持ちじゃないということね。非現実的なお店で長い時間を費やしてショッピングをした後にしっかりantidote、解毒剤を処方してもらったような感じがした。
犬の幸せってなんだろう。
食べること、散歩、お腹をさすってもらうこと、重要な労働(庭から猫やリスを追い出す大事な役目)とその代償にほめてもらうこと('Good Boooooy!')…。あとはなんだろうね、ウォルター。
これらのことが少しでも多くできるように元気に長く生きていこうね。