近頃何気に求める完全懲悪

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悪いことをする人というのは、悪事のタイプにもよるが、頭がよく根性がものすごく座っているのだろう。ぼうっと生きているとあまり関わることのない(そして関わりたくない)犯罪は実はそここで当たり前のように起こっているのかもしれない。

売上税に関する詐欺のドキュメンタリーを見て、あまりのシンプルさに感心してしまった。

ヨーロッパの単一市場内では売り上げ税率が一律ではないから、輸入元の国では税金を払わず、輸出先の国で販売する際に売上税を乗せ、その分は3ヶ月ごとに国に治めることになっているらしい。要は単純にこの売上税を集めた後、国に治めずドロンしちゃうというもの。この手の詐欺はインボイス等の書類がとりあえずそろっていれば数ヶ月間は表面化することはなく、表面化する頃には悪者はとんずら先のバハマで葉巻でも吸ってる、というシナリオ。また、英国の査察局、日本でいう「マルサ」はそうしたケースの氾濫から、告訴に十分な書類が揃うケース以外は黙って見逃すしかないという状況なのだそうだ。

さらにこの詐欺の上級編の詐欺が「回転木馬詐欺(carousel fraud)」。

例えばこうして無税で英国に輸入した商品を会社Aは次の会社BにVATを乗せて売ったと見せかける。会社Bは売上税をAに支払っているからその分の償還を国に請求する権利がある。会社Bは次の会社Cに商品を売ったと見せかける。CはBと同じように払ったとされる売上税を国に請求する権利が発生する。それをいくつもある会社の輪の中で繰り返せばモノを動かさずに大蔵省から売上税償還分のお金が受け取れるという仕組み。そして皆ドロン。マイクロチップや携帯電話などの小さく高価な商品を扱うことで数ヶ月で数ミリオン単位のお金が稼げる、という仕組み。

この大蔵省からの償還分のお金は、勿論あなたや私が収める尊い税金。そしてこの悪者を捕まえようと悪戦苦闘する査察官達の給料も、告訴にたどり着いたときの裁判の費用も...私達の税金。

大人たちがなぜあんなに完全懲悪番組を好んで観ていたのか、最近わかるような気がする。

ちなみに、この回転木馬詐欺で38milポンドを国庫から稼ぎ出し、運悪くつかまって告訴されたケースのMr Ray Woolley。しっかり有罪判決が下った...のだが、なんと彼はOpen Prisonに送られ(アホかいな?)、そこから彼は(勿論)歩き去って、今はインターポールで指名手配になってはいるものの、売上税詐欺では国外強制送還を法律上行わないスイスでひっそり裕福な暮らしをしているそうだ。
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by uk_alien | 2006-07-20 22:20 | just a thought