ほろ苦い梅干の思い出

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日本の家の庭には古い梅の木があって、毎年母が実を収穫しては梅酒と梅干を作っていた。縁側に新聞紙を敷いて、その上に梅が干してある風景が今でも目に浮かぶ。

昨年父が亡くなって、この家を手放した。だから母の梅干作りもこれで終わり。

楽しいことよりつらいことの方がはるかに多かった家。自立するまでの18年間を過ごした家。この家のことを思い出すことなどまずなかったのに、去年葬儀で暑い夏の3週間を過ごして以来、イギリスの自宅のベッドで寝ていても明け方ふと目を覚ますと、自分が日本の家の二階で寝ている錯覚をおこすことが多くなった。部屋の位置関係や窓の位置を体が覚えている感じ。大分たって、自分がどこにいるのかを思い出す。

やれやれ。これをトラウマと呼ぶのか、加齢と呼ぶのか。いずれにしても、もう解放してよ、という気分。(ちなみにこれは死んだ父とは関係なく私の心の問題。奴が化けて出ようもんなら私がのし紙つけて地獄に落としてくれよう。)

5年前に母がくれた梅干のビンの残りはあと少し。母と私は全くといっていいほど近しくない。しかし、農家の出の彼女は、私が家を出てからも、どこに行っても必ず彼女の梅干を持たせていた。これで最後。これからはもう在庫補充はないのね、と思うとやっぱりつらい。とてもつらい。
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by uk_alien | 2006-08-01 20:21 | family