大人になれない

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私が仕事を辞めてから私への義理ママの態度が少し変わった。遠慮が無くなったとでも言えばいいのか。人生で一度も仕事をしたことがない彼女にとって、フルタイムの仕事をしている人は「よくわからないけど時間がないのね」という存在で距離をおくが、専業主婦をしている人には「勝手がわかっているから一言いわせてもらうわよ」というスタンスなのだろう。わからないでもない。

年末旦那がフランスへ出かけていた夜のこと。旦那もいないことだし、完全なプライバシーを楽しみたかった私は午後から夜にかけての電話は一切無視していた。で、9時半頃またベルがなったので「旦那かな?」と思って出ると、義理ママ。

一晩中つかまえようと電話してたらしい。どこにいたかをきかれ、そこがどれくらい離れているかをきかれ、一日中そこにいたのかをきかれ、更にいきなりBBCのワインの番組を旦那のために録画したのかどうかを聞かれ(勿論そんなものは撮ってない)、濃霧の中彼が無事に宿に到着したかどうかの確認もしていないことを遠まわしに責められた。

辟易。

明るい会話を保つ努力は最低限レベルに下げ、「彼、携帯持ってますよ(かけるならどうぞご勝手に)」と言い放って電話を切った。

さて、それでも、クリスマスに向けてほぼ連日、ひどいときには一日に二~三回の電話に目をつぶり、彼女宅での泊りがけのクリスマスも無事に終えた私たちは、12月29日、まだ完成したコンサーバトリーを目にしていない彼女を我家に招待し、正式なオープンセレモニーとしてシャンペンを用意した。

シャンペングラスを持ってコンサーバトリーに腰を下ろした彼女は、いきなり「まずは...」といってサプリメンツのカタログを取り出した。生理前の諸症状に効くというタブレットにマルがしてある。前回会った時に確かに「生理で偏頭痛がひどくなったりすることがある」という話はした。したが...。

私:「私はあまりサプリメンツをとることは好きじゃないんです。それに私の場合生理前や生理中の体調の変化は自分でコントロール出来る範囲ですので...」
義理マ:「それは自分で判断するんじゃなくて、まわりの人に聞くべきなんじゃないの?」
私:「.....(むっかーーーーーーーーーーーーーー!)....」
旦那:「(なんとか場をとりもとうと努力)ははは、そうか。うーん、試してもいいかもね、なーんて」
私:「(旦那のおちゃらけは無視)私は頭痛にしろこうしたホルモンのバランスの変化の影響にしろ、コントロール出来える程度であれば、自分でコントロールすべきだと思ってますから」
義理マ:「私は不賛成だわ。これはね、100%ナチュラルで害はないのよ。今は食べ物も栄養分が不足しているからこうしたものをとらないとだめなのよ」
旦那:「母さん、もういいじゃないか。もうカタログは渡したんだからあとは彼女が自分で判断することでしょう?」

「それならそれでいいわ」とうなり、バッグをごそごそとまさぐった彼女は大仰に「次はね、あなたたちがなんと言おうとね、私は持ってきたわよ」というとDVDのディスクを数枚取り出した。デリア・スミスの料理番組、デリア・サマーのシリーズ完全コピー。

「絶対いらないってあれほど言ったのに!」と叫ぶ旦那を無視し、何がなんだかわからずあっけにとられる私に向かって「デリアのレシピはね、すっごく簡単なのよ。観てて、あらー、お料理ってこんな簡単に作れるのね~って感動するから。あなたは家にいて時間があるでしょうからそういうときに観ておくといいわ。私ですら今見直しても勉強になることが沢山あるのよ」

頭の中で血管がぶちぶちに切れる音が聞こえた。理性が「確かにデリア・スミスがイギリス家庭の食文化向上にいくばくかの貢献を果たしたのは事実であるし、彼女の基本に立ち返るという理念は素晴らしい」と訴え、感情が「レシピをわざわざ見るなら健康和食レシピをネットからひっぱってくるわい、この世間知らずのdo-gooderデブ!」と歯軋りする。

「あなた達がなんと言おうと置いていくから」と言い切ってテーブルの上にDVDを置くと、彼女は話題を変えた。「そういえば、先日掃除していて思ったの。ベッドルームのテレビ台の下をもうかなりの間掃除していないわって。でも動かすには体が痛くて大変だし...」

本当に困って痛々しい表情をする彼女に「言ってくれれば先日泊まった時に動かして掃除したのに...」という私を完璧に無視して、「そこでね、待って、これもフラットスクリーンに替えればいいんじゃない?だったら軽くてお掃除も楽だわ!って気がついたのよ。だから2月のお誕生日にはこれを自分で自分にプレゼントにするって決めたの。主人はいつも私の誕生日には豪勢なものをくれたもの!きっとこれも天国から彼がそうするといいってアイディアを送ってくれたんだわ」 (キッチンとリヴィングルームのTVは勿論既にフラットスクリーン)

既に発注済みで来週には配達されるらしい。古いのはもういらないから「欲しくない?」ときく。

もうだめだ。はっきり言ってついていけない。

いまだ息子離れできない強烈な母性も、相手の気持ちや立場を考えない一方的な発言も、無知からくる階級/人種差別的発言も、自己中な中流階級的「実用主義」に基づく散財も、もう沢山だ。本当にもう沢山だ。

義理の家族なんて、そういうものだ。
そういうものだけど...本当にもう沢山だ。
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by uk_alien | 2007-01-02 04:31 | family