「ほっ」と。キャンペーン

ハーフタームの試練

ハーフタームの間、全寮制の私立学校の生徒は寮を出なければならず、ガーディアンと呼ばれる彼らの親代わりの後見人はホームステイ先を手配する。そこで、今回我家に白羽の矢が立った。

「あなた、チャイニーズだったわよね。あら、ジャパニーズ?でもチャイニーズは話せるわよね」

なんでやねん?

兎に角。まあいい経験になると思い了承した。通常面倒を見ている生徒達(一日中観光で外出している)と違って、こうした子達はイギリスズレしてるし、また、べったり家にいることになるのでかなりのストレスになるだろうな...と思ったのだが。香港チャイニーズ14歳+17歳、10日間。

いやはや、やはり大変だった。二人ともきっとごく普通の香港チャイニーズのティーンなのだろう(一学期の学費に8,000ポンド払える家が普通かどうかは別として)。でも親から離れ、寮生活で実用的な知恵を身に着けている彼らは自分達の都合で全てが回るよう操作する術を(少なくともそうする努力の仕方を)心得ている。日に日に脱ぎ捨てられる遠慮のベールがまるで目に見えるようだった。しかも勝手がわからない最初のうちに親切心からgenerousな対応をしたド素人な私は10日間常に同様なサービスをサプライする羽目に。

以前語学学生のホストをしている友人が「暑い国から来る人達は長時間シャワーを出しっぱなしで浴び続けたり、日に二回シャワーを浴びたりするので困るわ。だからハウスルールにシャワーは一日一回15分と付け加えたのよ」とこぼしていたのを覚えていたのだが、香港がこの「暑い国」の一つであることに気付いたときは時既に遅し。ティーンならではの食事の量と回数、ヘアーアイロンに携帯の充電、夜中まで一日中つけっぱなしで音楽やビデオを流している二台のラップトップ。これが現代の若者なのね...と半ばあきらめつつ、タンクトップにショーツで家を歩き回る彼らに「部屋が寒いのでヒーティングをつけてほしい」と言われたときにはさすがに「寒いならもっと暖かい格好をすれば?」と言い返した。しかし「寮を出た日はとても暖かかったのでこういう服しか持ってこなかった」という。そこで慌てて暖かい服を貸したがどうも着たがらない。そういうもんだとタメイキをつきつつポータブルヒーターを貸す。

ある日ベッドリネンを取替えに部屋に入るとそこは常夏。ヒーターががんがんにかかっている。汗だくになりながら二人分のリネンを取り替える私にここでもヘルプのオファーは勿論ない。こういうところは西欧の子ども達とは一線を画す。ま、そういうものだ。香港ではメイドが全てやるんから。あくせくリネンを取り替える私の後ろでは、隣り合わせの机にそれぞれ置いたラップトップで別々の音楽をならしつつ、一人が携帯でボーイフレンドとガーリー口調で話をしているその脇でもう一人は翌週のASレベル試験に向けた勉強をしている。よくこんな状況で勉強出来るなと感心する一方で、そんな彼女にふと、金銭的な裕福さと、スペース的に余裕のない立て込んだ香港のフラット生活というちぐはぐな狭間で鍛え上げられた独特の個の文化を垣間見たような気がした。

ガーディアンもしているこの道長い別の友人から「一体なんでそんな値段で引き受けたの?!」と言われたが、やっと意味がわかった。うう、何事も経験。

今回は商魂と良心のバランスの苦労などというものではなく、親切心から墓穴を掘ったり、家庭や国の文化の違いに摩擦を感じたり、縄張りの押し合いへし合いがあったりと、ホストファミリーとしての、割とプロパーな苦労をかじった気がした。昨日学校まで車で送りお役ご免。

家に帰って冷えたプロバンスロゼで乾杯した。
[PR]
by uk_alien | 2007-06-04 19:02 | hosting students