想い出の品

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私はコレで英語を学びました、みたいな記事をよく見かける。私の場合の「コレ」は暗室入門本。一人でもくもくと辞書を引き引き理解して、WimbledonからNorth Circularを通ってFinchleyのRK Photography(今でもあるらしい)へ通い片言英語で暗室器材を集めた。

当時は今と違い、candid photographyとよばれる、いわゆるスナップ写真ばかりを撮っていた。バルクフィルムから巻いたフィルムが撮影し終わると、リールに巻きつけ現像タンクに入れる。即席ダークルームのお風呂場に、器材や薬品を準備し、ストップウォッチとタイムシートを交互ににらみながら現像。ほこりがつかないように乾かしたらコンタクトシートを焼いてどのショットを焼くか選ぶ。コントラストを決めて引き伸ばし機で拡大・焼付け。

現像液に浸してイメージがゆっくり現れてきたときの感動は今でも忘れられない。自分がシャッターを切った動機がそのまま写真に現れているときは最高に興奮する。でも拡大してピントが合ってないことがわかるとがっかり。

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一年の滞在の後、日本へ帰国という段になってもこれらの器材はどうしても手放せず、引き伸ばし機からプラスチックトレーまで全て日本に持ち帰った。その後再び渡英、永住と決まったときも、やはりどうしても手放すことは出来ず、嫁入り道具として持参した。

今でもこれらは我家の屋根裏にひっそり眠っている。

ちなみに何を隠そう、我家の旦那も実は暗室小僧だったらしく、一緒になった当時、引き伸ばし機から何から全てを持っていた。2セット、というのはいくらなんでも多すぎる、質の低いものを処分しよう、とお互いの器材を比べたところ、殆どの旦那の器材は私が集めたものより質が悪く(私よりはるかに金持ちだったくせに)、彼の思い出の品はあえなく処分となった。

ひどい妻だ。
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by uk_alien | 2007-11-30 06:08 | photography