はじめてのポピー

先月バスの定期を買うときに、カウンターに置いてあったポピーの箱。今年もこの季節なのね、と思いながらふと今なら抵抗なく買ってつけられるような気がした。

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今の家に引っ越してきた年のこの季節、地元の駅の階段を降りていくと、下の踊り場で白人の品のよさそうな中年の男性が募金集めのためにポピーを売っていた。階段を降りてくる人たちににこやかに話しかけ、皆もいくばくかの小銭を差出し、ポピーを受け取っている。

彼の笑顔が階段を降り来る私の顔に止まった。すると、笑顔は一瞬気まずそうな表情に変わり、彼はそのままゆっくりと向きを変えて私に背中を向けた。

なんだかまるでそこに鏡が置いてあるようだった。彼の目に映った私の知らない冷たい東洋顔の女性が私にも見えるような、そんな気がした。

ここで、にっこり笑って『おじさん、私にもポピーちょうだい』と言えれば一人前だよな、とも思ったのだが、いかんせん、度胸も経験も足りず。そうして私は胸の奥深くに小さな棘をさしたまま通勤電車に乗り込んで行った。ま、確かに、「お前達の捕虜収容所のせいで大勢が死んだんだ!」と怒鳴られるのが怖かったのもある。ありえないだろうけど。

あれから6年。今年はじめてポピーを買って自分の胸に挿した。戦死者達や負傷者達への思いとはまた別に自分の中の小さな変化が少し誇らしい。

明日はRemembrance Day。
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by uk_alien | 2008-11-11 03:01 | just a thought