やっぱり怖い

今朝バスに乗っていると、終点の手前のバス停をちょうど通りすぎたあたりで身なりのよい中年の白人女性がすっと立ち上がり、「ここでおろしてくださる?」と運転手に声をかけた。

スピードは出ていないにしろ、バス停で停止できるタイミングは逸してしまった後だった。他の運転手なら十中八九、まず妥協して停まっていただろう。でも、今日の運転手は定期期限やリターンチケットの日にちまで一人一人必ずチェックする、イギリス人にしては稀な真面目な運転手。

「でもブザーを押してなかったでしょう?」といって彼はそのままバスを走らせた。

ここで終わるかと思いきや...そこはイギリス連合王国女史。正当化のための弁明の労は決して惜しまない。

「私の周りを見回したけれど、ブザーは一つもないわ。ほら、見て。押しようにも押せないじゃない」と引かない。

「でもほら、あそこにとってもナイスなブザーがあるでしょう?」と運転手はわざとゆっくり大きな声でそういいながらその女性から2mほど離れたところにあるブザーを指摘する。足の不自由なお年寄りならともかく、運転席の隣にわしっと立って抗議し続けているこのご婦人にとっては遠すぎる距離ではない。

微妙に威厳を失った彼女は、ちょうど信号でバスが停止したので運転手に「ここでドアを開けてくださる?降りますから」とサーブ。

「いや、我々は緊急でない限りバス停でしか人は降ろさない規定。カウンシルのヘルスアンドセイフティーがうるさいですから」と冷静な運転手の返球。

「ヘルスアンドセイフティー?それを持ち出すなら、私が次のバス停からこの坂を歩いて帰って来る間に歩道で転んで怪我をするかもしれない、その私のヘルスアンドセイフティーはどうでもいいというの?」とおばさんのブリティッシュ・フィーメイル・スマッシュ。

「もし何かあったらその段階でカウンシルに苦情の手紙を書いてください」

あっさりボレー返し。ゲームセット、運転手さんの勝ち。



「まったくイギリス人の女性ときたら。くわばら、くわばら...」と漠然と思いながら仕事をしていると、目の前に座るお局様がプライベートの自動車保険の更新に関してなにやら電話口に向かってものすごい冷徹な言い方で怒鳴っている。(仕事もしないで)

「なんであなたのところの保険を更新しないかって?あなたの値段が高すぎるからよ('Cause you're NOT cheap!)。......ちょっとなんだってそんな質問に私が答えなきゃいけないのよ。あなたのところの保険を更新しない、それで終わりじゃない。これ以上何が知りたいって言うのよ!」

イギリス人女性の女性の権利への歴史的貢献の偉大さは測り知れないものがある。

が、怖いものは怖い。
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by uk_alien | 2008-11-12 03:12 | just a thought