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久しぶりだね

昨年一ヶ月間我が家にホームステイをした日本人の学生さんが、一年ぶりに遊びに来てくれた。

彼女は目下、パリの大学でフランス語を学びながらEUに関しての講義を英語で受けている。英語は日本の大学のクラスで週一回だけ行っているらしいが、一年のブランクがあるのに去年と比べるとしっかり会話力が伸びている。若さね。

で、帰国まで残すところ一週間。「どんな気分?日本が恋しい感じ?それともパリが気に入って離れたくない?」ときくと、いろいろなプログラムでいくつかの外国を訪ね、いろいろな国の人たちに会い、彼らが日本に関して質問してくるのに自分は答えられるだけの知識がないことに気づいた。昨年イギリスに滞在した後日本に帰る段階では、自分の中の日本人ぽさになんだか嫌な感じを覚えたけれど、今は日本で育った日本人としてもっと日本のことをしっかり理解したいと思っているところです。だから帰国後、残された大学での時間も含め、いろいろなことを学ぶのが楽しみ」という。

「例えばどういう質問に答えられないと思うの?」ときくと、しばらく考えて、「些細な例ですが、『日本語でよく使う罵倒語は何か』ときかれて、思い浮かばない。『日本語ではそういう単語はない』と一瞬思ったけれど、それは自分がただ単に使わないだけで、あるはず。英語にはたくさんあるのになぜだろう、と思ったんです」





西洋で生活する日本人なら必ず一度は考える問題だ。

学術的な背景は知らないけれど、私の経験上、英語の罵倒語は猥語に極度に偏っていると思われ、おそらくそれは性的快楽を忌み嫌うキリスト教の考え方に基づいているのではないかと私は勝手に推察している。罵倒語は相手をinsult=侮辱する/辱めるのが目的だから、同一文化内で共有される観念において一様にshockingとみなされる表現を使えばより効果的、というわけだ。

それとは対照的に、日本においては性的快楽への社会的許容度が歴史的に比較的高いことが特徴とされている。17世紀、江戸時代の民間快楽文化とそれに対する受容的な社会態度は、禁欲思想が浸透している当時の西洋社会(イギリスではピューリタンが勢いを持ち始め、Oliver Cromwell率いる議会派とチャールズ一世率いる王室派の市民戦争あたり)と比べると明確な差異を呈するのではと推察する。(注 当時のイギリスは確か9人だかの市民に1人の割りで娼婦がいたという統計もあるから別に彼らがお行儀がよかったわけではない。)そうした背景上、日本人に日本語の猥語を叫んでも相手を侮辱するという同様な効果は望めない。

一方、仏教では動物(畜生)のランクは人のランクより下に位置されており、行いが悪ければ畜生道に落ちてしまう。そこで他人を罵倒するには相手を動物のレベルに下げる、「馬鹿(horse/deer)野郎」「豚(pig)野郎」「獣(beast)以下」などという表現を使うほうがより効果的なのだ。

ただし、太古の昔から論理・議論・弁護といった口語文化が根付く西洋と比較し、それよりも紙が豊富なおかげで書記文化が発達した東洋において、どれほど相手をverbalに攻撃する必然性が日常にあるのかという疑問も生じる。

直接的に攻撃するよりももっと陰湿な、「村八分」、仲間はずれの方が効果的なのかもしれない。更にLily Allen風に泡立てて、もっと微妙で軽いinsultの仕方も生じるわけで - KY(空気読めない)、等々...。

こうして興味深い話をなんだかんだと二人で交わしつつ、美味しいお酒と食べ物を楽しみ、彼女は一泊した後ユーロスターでパリに帰っていった。

また会えるといいなと思う。
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by uk_alien | 2009-03-12 03:45 | hosting students

悪夢の6日間

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イギリスは暦の上で(だけ)は春。ユーロ高のあおりもあってか、ヨーロッパからのホームステイのブッキングは続々と入ってきている。

ある日、いつも渡される定型フォームの予定表に新たな注意書きが。

「子ども達のベッドルームは出発前に必ずチェックしてください。破損や紛失があったら、彼らの出発前に必ず報告してください。その後のクレームは一切出来ません」

...あまり気にもかけずに、いつものように子ども達を迎え入れ、ベッドルームやバスルームの説明をしているうちに、今回の連中がとってもパイキーなお育ちだということがひしひしと感じられてきた。会って間もなくとも、言語が全く違えども、そういうことはすぐにピンとくるものだ。

そうして大変居心地の悪い6日間が始まった。

下品で失礼な態度は日々イギリスのティーンを目にしているおかげで結構免疫があるにしても、ホームステイの生徒でというのはこれが初めて。嘘を言って電話を使おうとしたり、最低限のハウスルールを無視したり、バスルームにかけてある私たちのバスタオルを体を拭くのに使ったり、朝からモバイルで音楽をがんがんならしたり...。

日曜の晩、階上から「Mrs! Mrs!」との声が。「There is XXXX in the bed」と繰り返している。なにいってんのかわからないので、「クモかなんかでもベッドの中にいたのかな?」と思いながら部屋に入ると、ベッドの羽根布団の上にしっかりくっきりと青いインクの巨大なしみが。どうやら宿題の手紙をベッドで書きながらふざけているうちにペンが布団の上に落ち、暫く気付かない間にしみが広がった様子。

驚きと嘆きの声をあげつつ布団カバーをはがすと、布団そのものにもしっかりしみがついている。

「自分たちの家じゃないんだから、もっと気をつけなさい!わかる?自分たちのものじゃないんだからしっかり注意を払いなさい!」としかりとばした後、熱湯とカーペットクリーナーで染み抜き開始。日曜の夜の9時。とほほ。

運良くカバーからも布団からもしっかり染みを落とした。「We are very sorry」だそうだ。So you should be。しかし、こういう連中のsorryは長くは続かない。

出発の日の朝にはまだ最後の一人があたふたとパッキングをしている間に「忘れ物がないように」といつものベッドルームのチェックを行った。「もしくすねられるとしたら...日本から持ってきたあのピンクの目覚まし時計が一番危ない」とひそかに危ぶみつつ。

倒れて仰向けになっているにせよピンクの目覚まし時計がしっかり残っているのを確認し、子ども達全員を部屋の外に出してから最後にベッドルームを後にした。

彼らをバスまで送って、家に戻り、ベッドリネンをとりに部屋に戻って、仰向けになっている時計を直すと...

やられた。単3のアルカリ電池が抜かれている。

YOU, PIKEY BASTARDS!

こうしてnastyなランドレディーが出来上がるのだ。
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by uk_alien | 2008-04-11 01:01 | hosting students

See you soon!

我家にホームステイしていた日本人の女学生さん。昨日は朝から最後のロンドン観光とお土産ショッピングに出かけていた。

と、午後、彼女のお母さんから突然電話が入る。

「飛行機、明日じゃないんです、今日なんです!今ロンドンの中心にいる娘から連絡が入りました!現在、お宅に向かっているところです」

うーん、ありがちだ。こりゃ高速の込み具合で決まりだな、と冷静に考えつつ彼女の部屋をチェック。20分あればパッキング出来そうだ。ネットで出発ターミナルを確認し、高速の込み具合をチェック。念のためエアラインの番号をメモった。

これを逃したらまずだめだ、という電車にしっかり乗って彼女は帰ってきた。誤るより、パッキング。見事に20分以内でパッキングとトイレを済ませヒースローに向け出発。

出会ったときから感じていたのだけれど、この子は何者かの力でものすごく守られているタイプの子。日曜の午後遅くという時間もあって、M25もM4もがらがら。事故もブレイクダウンも一切なし。(あと1時間遅れていたらM4の出口渋滞に巻き込まれていたところ。ラッキーな奴)。結果、チェックインは奇跡的に2時間半前に済ませることが出来た。カウンターのやさしいお姉さんに5kgオーバーの荷物をしっかり見逃してもらう。またしても、本当に運のいいやつ。

出国ゲートまで送って、さよならをした。今まで日本から訪ねてきた知り合いや姪をヒースローで見送って、一度も涙を流したことはなかったのに、今回は別れがとても悲しく、涙が止まらない。

We'll see you soon!
Yes! See you soon!

たったの3週間だったけれど、その間彼女を通して多くのことを学んだような気がする。

異文化/異言語圏に長く生活することで、私たちは自我を守るための様々な防衛手段を会得し、気がつかないほど自然に日々それらを駆使している。そうした心理的なテクニックは勿論生まれた国に住んでいても習得・常用されるものだし、それはそれで決して悪いものではないのだけれど、ややもするとそうした規制は自己の成長や、異文化への耐性/順応性、現地語の上達等に支障をきたしてしまう。

初めての外国で、自己と異文化環境との不協和音をしっかり感じる中、自己防衛のための一時の心地よさを選ばず、若さという強みを追い風に積極的に自分の背中を押し続けて不慣れな環境にひたむきに飛び込み、その結果、見事な勢いで言葉や文化、身の振る舞いをスポンジのように吸収していった、そうした彼女の姿は、「まだまだやることも出来ることも沢山あるよ、そしてそのカギは自分の中にあるんだよ」と私に教えてくれているような気がした。
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by uk_alien | 2008-03-18 01:44 | hosting students

お預かりいたしました

さあ、スタディーのデコレーションだ!と思いきや。

旦那の上司を通して、現在ロンドンで短期語学留学をしていらっしゃる日本人の女学生さんのステイ先についての相談を受けた。語学学校に割り振られたステイ先がどうも安全面で腑に落ちないという。

この上司にコンタクトしたのは彼の旧友で、現在オーストラリアにビジネスを構えるイギリス人。この人は以前日本の某国立大学で教鞭をとっており、この学生さんのお姉さんが教え子だったことから、ご家族全体ととても親しい間柄なのだそう。

相談を受けたあと、とりあえずホストファミリーをしている友人にあたってみたが、どうも空きがない。我家もこれから3月にかけてEUの生徒さんのブッキングがどんどん入ってくるのだが、初めての外国のステイ先で気が気じゃない思いをしている日本人の女学生さんを放っておけるほど私もドライじゃないし、とりあえず、我家のスタディーをにわかベッドルームにして、彼女を迎え入れることにした。ということで、デコレーションは当面延期。

このもと教授さん、日本語も達者なそうなのだが、私なぞ比較にならないくらい日本文化のプロトコルをしっかり遵守される方で、メールと電話で本人、本人の家族、私たちをコーディネートしつつ、各方面にしっかり根回しした後、この娘さんとの直接のコンタクトをアレンジしてくれた。

電話で直接話すと、この学生さん、初めての外国という割には非常に冷静にご自身の状況を把握されており、緊張した声ながらも私にしっかり状況を説明してくれた。「あなたがすぐにでも移りたい、移ったほうがいいと思うのであれば、明日からでもいらっしゃい」

と、いうことで以来、再び多忙な日々が続いている。

それにしても、このもと教授さんは彼女のことを「とてもいい子で、しっかりしたご家族のお子さん。喜んで自分が身元を保証する」と叙述されていたのだが、実際彼女に会って一緒に暮らしてみると、まさにその通り。

国立大学で法律を専攻する彼女は、若さと純真さと気立てのよさと知性がしっかり混じり合って、何についてディスカッションしてもとても興味深い。私の日本語の会話がちょっと怪しいのと、彼女の今回の渡英目的が語学留学だったのとで、会話は英語ですることにしたのだが、とにかく二人ともしゃべりっぱなし。

かわいそうなのは旦那。「私たちの日本語なまりの英語がコンスタントに飛び交っていて、きき疲れしない?」ときくと、「それは全然構わないんだけど、ノンストップ、っていうのに負けそう。もうスイッチ切ってる」というので、「私たちに娘でもいたらきっとまさにこんな感じよ。恐ろしいでしょう?」というと苦笑いをしていた。
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by uk_alien | 2008-02-29 00:48 | hosting students

ティーンは食べ盛り

クロアチアの生徒さんたち3人は本日パリに向けて無事出発した。6日間のロンドン観光の後はパリに2日間滞在、そして最後はユーロディズニーランド。めっちゃリッチな家庭の子ども達なようだ。

今回の食事づくりも厳しかった。二日目にstuffed red pepperとハーブ&トマト味のcous cousを出したら容赦なく全部残されてしまった。ほとんど手付かずだったので、食べ盛りなのにお腹がすいてはかわいそうと、私のとっておきのGreen & Black'sのオーガニックのホットチョコレート&チョコレートビスケットを出してあげたが最後。「Could we have hot chocolate again, please?」うーん、どうして学ばないかな、私は。

三日目以降は割り切って彼ら用に脂っこくて濃い味付けのものを提供。チキンのトマトソース煮、ボロネーズ、カルボナーラ、ピザ&フライドポテトの四日間(私たちはチキンとボロネーズだけジョイン)。これらには手放しで大喜びし、どうみても6人分の量を3人でぺろっと平らげ、「もっとないの?」とストレートに要求してくる始末。ティーンエイジャーとはこういうものだ。

それにしても一番参ったのは夜中~朝にかけての一晩中コンスタントなトイレの使用。夜しか家にいないのに二晩でトイレットペーパー1ロールが使い切られてしまう。食べたものは出さなければならない...とはいえ、なにも入れ替わり立ち代わり(もしくは同じ人物なのか...不明)夜通しトイレに行くことはなかろうに。メディカルコンディションかなにかなのかな...とも思ったが、朝会うと元気そうなので敢えてきかないことにした。二階のバスルームはマスターベッドルームの隣にあるのでそのたびに起こされてしまい、旦那も私もすっかり寝不足。いやはや。

それでも元気なティーンというのはにくめないものだ。今回の滞在にはすっかり満足した様子で、私たちや家の写真をばちばち撮って、「またいつかどこかで会えるかもしれないよね」といって去っていった。
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by uk_alien | 2007-08-22 02:03 | hosting students
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久しぶりに生徒さんの面倒をみている。今回はクロアチアからで16歳。

うわー、英語通じるのかなと心配していたら、なんてことはない、今まで面倒見てきた生徒さんの中で一番英語が上手。コミュニケーションには全く問題がない。フランクにいろいろなことをきいてきたり確認したりしてくれるのでとても楽だ。

昨夜の夕飯は義理ママからいつも回ってくる雑誌、Deliciousから選んでスパニッシュオムレツにグリルドベーコン、Guacamole&サラダリーフというメニュー。暫くして一人がGuacamoleを差して、「コレは何?何から出来ているの?」ときく。それきた。変なもん出しやがってと思っているに違いないと懸念しながら「アボガドよ」と答えると、「I've never had this before, but I think it's great, very delicious. I like it very much」と真顔でいう。おお、これぞ異文化体験。Mexican food in the UK served by the Japanese.

この夏は人を招いたり招かれたりで、カロリーたっぷりの食事が続き、更に義理ママからのフードパーセルも続いて我家の冷蔵庫はいつもだったら手を出さない超ファティー&シュガリーな食べ物で一杯な状態が続いた(上記のベーコンもそのうちの一つ)。貧乏性の私はもったいないお化けに勝てず、おかげでとてつもなく肥えた体になっている。

9月のホリデーに向けてシェイプアップを目論みながらもなかなか実行できない。
うう、まずい。デブになってまう。
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by uk_alien | 2007-08-16 21:10 | hosting students

骨と皮と化粧顔

「イギリスの子ども達と違ってコンチネンタルの子ども達は好き嫌いがなくて助かる」

と以前書いて、その後沢山の子ども達の面倒をみてきた。その結果やはりものごと例外があるものだと気付く。ま、国民の大半が食べ物にファッシーなイギリス人に比べたら全然ましだと思うが。

で、今フランス中央から来ているども達。コーチが到着してオーガナイザーがめずらしく一人一人好き嫌いとアレルギーを確認していたのに気付いた。13歳だからかな?

「魚だけ、あとは野菜も何でも食べれる。アレルギーもなし」という返答に「よしよし」と思ったのもつかの間。我家に来た3人のうち、極端に痩せてて顔色も悪い子がものすごい偏食家だということがわかった。

初日のディナーはペンネ&クリームソース+サラダ。他の二人はハッピーチャッピーでぺろりと平らげたがその子は食べ物にはほとんど手をつけず、残りは全てゴミ箱行きに。手をつけた分もその夜きれいに吐き戻してしまった。拒食症じゃないかと心配しながら念のため近所にホームステイしている先生に連絡しておく。後で本人に「ディナーがこってりしすぎてたのかしら?」ときくと「いや、そんなことはない」という。

翌日、お腹が調子よくても悪くても対応できるよう、leaksとジャガイモのスープ、チョリゾのピザ、サラダを用意した。すると、「leaksは嫌いなの、だからスープは食べない」という。君のお腹のために作ったんだけどなぁと思いながら、昨日のディナーも食べてないことだし、なにか彼女のお腹に入れなくてはと思い「それじゃピザをもう一枚作ろうか?」ときくと「うん、でもマッシュルームは抜いて」。

うーん。好き嫌いはなかったんじゃないかい?とりあえずもう一枚のピザをちゃちゃっと作って彼女のプレートにのせ冷えた自分のスープをすすった。大分たって皆がとっくに食べ終えた後「終わった」という彼女のディナープレートにはサラダと一枚目のピザから取り出したマッシュルームとピザのパンのベースがてんこ盛りになって残っている。要はピザの上側のチョリゾ、オニオン、トマトとチーズだけこそぎとって食べたというわけだ。

こみ上げる吐き気と嫌気をぐっとこらえつつ、「あと数日」と自分にいいきかせ、残された分をゴミ箱にざっと投げ入れた。私は健康上の理由でない限りそういう食べ方をする人が我慢できないのだ。

とはいっても相手は子ども。そうなったのも一概に彼女自身のせいとはいえない。

気を取り直して今日のメニューを考える。うーん、作りたくない。冷凍してあるボロネーズソース+サラダだな。これ以上食べ物は無駄にしたくないので彼女のプレートに盛る量は今夜は半分以下にしよう。

骨と皮だけでどうみてもanorexicな彼女。ただでさえ13歳な上に超petiteな彼女は、それでもしっかり化粧をして毎朝出かけていく。どんなに食べ物にファッシーでもせめて好き嫌いにとどめてeating disorderにだけはならないように...とひとごと(人の娘)ながら祈る私であった。
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by uk_alien | 2007-06-20 19:39 | hosting students

ハーフタームの試練

ハーフタームの間、全寮制の私立学校の生徒は寮を出なければならず、ガーディアンと呼ばれる彼らの親代わりの後見人はホームステイ先を手配する。そこで、今回我家に白羽の矢が立った。

「あなた、チャイニーズだったわよね。あら、ジャパニーズ?でもチャイニーズは話せるわよね」

なんでやねん?

兎に角。まあいい経験になると思い了承した。通常面倒を見ている生徒達(一日中観光で外出している)と違って、こうした子達はイギリスズレしてるし、また、べったり家にいることになるのでかなりのストレスになるだろうな...と思ったのだが。香港チャイニーズ14歳+17歳、10日間。

いやはや、やはり大変だった。二人ともきっとごく普通の香港チャイニーズのティーンなのだろう(一学期の学費に8,000ポンド払える家が普通かどうかは別として)。でも親から離れ、寮生活で実用的な知恵を身に着けている彼らは自分達の都合で全てが回るよう操作する術を(少なくともそうする努力の仕方を)心得ている。日に日に脱ぎ捨てられる遠慮のベールがまるで目に見えるようだった。しかも勝手がわからない最初のうちに親切心からgenerousな対応をしたド素人な私は10日間常に同様なサービスをサプライする羽目に。

以前語学学生のホストをしている友人が「暑い国から来る人達は長時間シャワーを出しっぱなしで浴び続けたり、日に二回シャワーを浴びたりするので困るわ。だからハウスルールにシャワーは一日一回15分と付け加えたのよ」とこぼしていたのを覚えていたのだが、香港がこの「暑い国」の一つであることに気付いたときは時既に遅し。ティーンならではの食事の量と回数、ヘアーアイロンに携帯の充電、夜中まで一日中つけっぱなしで音楽やビデオを流している二台のラップトップ。これが現代の若者なのね...と半ばあきらめつつ、タンクトップにショーツで家を歩き回る彼らに「部屋が寒いのでヒーティングをつけてほしい」と言われたときにはさすがに「寒いならもっと暖かい格好をすれば?」と言い返した。しかし「寮を出た日はとても暖かかったのでこういう服しか持ってこなかった」という。そこで慌てて暖かい服を貸したがどうも着たがらない。そういうもんだとタメイキをつきつつポータブルヒーターを貸す。

ある日ベッドリネンを取替えに部屋に入るとそこは常夏。ヒーターががんがんにかかっている。汗だくになりながら二人分のリネンを取り替える私にここでもヘルプのオファーは勿論ない。こういうところは西欧の子ども達とは一線を画す。ま、そういうものだ。香港ではメイドが全てやるんから。あくせくリネンを取り替える私の後ろでは、隣り合わせの机にそれぞれ置いたラップトップで別々の音楽をならしつつ、一人が携帯でボーイフレンドとガーリー口調で話をしているその脇でもう一人は翌週のASレベル試験に向けた勉強をしている。よくこんな状況で勉強出来るなと感心する一方で、そんな彼女にふと、金銭的な裕福さと、スペース的に余裕のない立て込んだ香港のフラット生活というちぐはぐな狭間で鍛え上げられた独特の個の文化を垣間見たような気がした。

ガーディアンもしているこの道長い別の友人から「一体なんでそんな値段で引き受けたの?!」と言われたが、やっと意味がわかった。うう、何事も経験。

今回は商魂と良心のバランスの苦労などというものではなく、親切心から墓穴を掘ったり、家庭や国の文化の違いに摩擦を感じたり、縄張りの押し合いへし合いがあったりと、ホストファミリーとしての、割とプロパーな苦労をかじった気がした。昨日学校まで車で送りお役ご免。

家に帰って冷えたプロバンスロゼで乾杯した。
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by uk_alien | 2007-06-04 19:02 | hosting students

良心と商魂のバランス

ホストファミリーをするようになって、最初は食事やお弁当に何を作ったらいいか、気に入ってもらえるだろうかなどと頭を悩ませていたが、それでもだんだんコツがつかめてきた。

これまでのところ、パスタ+ボロネーズ+サラダは国籍問わずまず無難なチョイスなようなので、ソーズを沢山作っておいて小分けに冷凍し、到着第一日目にはそれを出して、そのときに彼らの好き嫌いを確認することにした。イギリスの子どもと比べると好き嫌いがなくて助かるが、「サンドイッチにバターやマヨネーズはいやだ」とか「牛乳がダメだ」とかと意外な好みがあるので確認するにこしたことはない。

さて、日本の感覚で「ホストファミリーをしている」ときくと、どうやら「とても優雅な生活をしているご家族」が「大きな家の部屋の一つを利用して」「インターナショナルな交流の一役を担っている」という印象があるらしい。浴衣を着せてあげたり、観光に連れて行ってあげたり...。

しかし、何でも物価の高いイギリスではよほど運良くリッチなファミリーにでもあたらない限り(もしくはそれなり以上の金額を出さない限り)そんなことはまずない。殆どは普通の家族がモーゲッジを払うため、家計の足しにするために学生を入れている。我家だってそうだ。代償がなければまずやらない。

そして言わずもがな関連固定経費をいかに削減するかが利益率に直接影響する。ホスト側が良心と道徳と商魂のバランスをどうとるかでステイする側の運不運が決定される。しかも、私が入れている生徒さんは12-17歳なのでまず「食事がまずい!」と権威に文句をいう年頃でもない。また、こうしたノン・プレミアムなサービスではエージェントからの細かいクオリティーチェックも驚くほど入らない。従って悪魔に魂を売りたければ売ることも出来る。

実際生徒さんたちを通して他のホストファミリーの話をきくとものすごい答えが返ってくる。
「うーん...実は今日友達のランチ、すっごく薄いパンにバターを塗っただけでなにも中身がなかったの。私たちの分厚いサンドイッチを見て驚いてたわ。かわいそうだから一切れあげたの」
とか
「友達のステイ先はベッドルームで食事をさせて、しかもよわからない肉のようなものとコーンが夕食。その上バスルームを使わせず洗面台で体や髪を洗わせているの」
ときくともう絶句。

ま、皆が皆そういうわけではないのだろうが、そうしたローエンドの話を聞くと食材の質を少し下げたことで自責の念にかられていた私の胸の痛みもやわらぐというものだ。

義理ママの友人夫婦がもう何年も同じようにホームステイの学生を入れている。大抵が日本人なのだそうだ。彼らは収入が目的ではなく、話し相手がいることで家の中が活気づくということでやっているらしい。
「支出が収入を超えてしまうときもあるのよ」

うーん、そこまでは出来ない。
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by uk_alien | 2007-05-12 03:34 | hosting students

生活の変化

すっかり季節は春。

EUからイギリスに短期でやってくる中高生達のホストファミリーをすることになって、家の中のペンキ塗りやら家具の配置換えやらで暫くは猛烈に多忙だった。まだデコレーションは終わってないけれど生徒は続々とブッキングされてくる。

食事はフルボード(!)で、朝夕近くのコーチの駐車場まで車でのピックアップもする。でも朝早くから夕方遅くまで一日中外出しててくれるから、下宿人や長期滞在のホームステイの生徒を入れるより、プライベートスペースを侵されるという気分はない。

彼らは思ったよりは英語も話せる。先週来た二人のベルジアンガールズのうちの一人はコンゴ出身で家系柄とてもポリティカル。ジャーナリストを目指しているそうで、コンゴの政治状況を熱く語っていた。現地語、フランス語、英語、オランダ語を話し、アジアにもとても興味があるらしく、ネットで日本のTVをよく観ているとのことで、私よりはるかに日本のドラマに詳しかった。「Matsumoto Jun! Don't you know him??????」うーん、知らない。彼女はもう一人の女の子とわくわくしながらジャパニーズカレーを箸で全部平らげていた。笑いながら「イギリス文化を学ぶことになってるんじゃないの?」ときいたら、「イングランドはすぐ近くだし文化も似たようなもんだからいいの。こっちのが興味ある!」のだそうだ。

今面倒を見ているのは昨日パリから来た二人のフレンチガールズ(必ずペア以上でステイすることになっていて、私はgirls preferred)。昨日の夕飯はボロネーズを作ったのだけれど、とても喜んで食べてお替りまでしていた。よかったよかった。何でも食べるというので今夜は親子丼の予定。

我家のキッチンカウンターは以前とは打って変わって、ランチ用に用意するクリスプスやオレンジジュースの小さなカートン、ミネラルウォーターボトル、フルーツ、サンドイッチ用の食パンなどがどっさり詰まれ、まるでティーンエイジャーを持つファミリーのようになった。

こういう形で生活が変化するのは面白い。
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by uk_alien | 2007-04-24 18:45 | hosting students