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復讐の読み味は蜜の味?

私はよく人の薦めで本を読む。

読むのが遅く乱読が出来ないから、なるべくならいい本に出会う確立を高めたいという目論見と、人が薦めたいと思うその気持ちをその本を読んで肌で感じ、理解したいと思うからだ。

先日は親しくしている義兄の薦めで、はじめてSteinbeckの本を読んだ。アメリカは一般的に表現やものごとへの態度の違いがヨーロッパとは強く異なり、本を読んでも「外国」というイメージが強いのだが、Steinbeckの作品は書かれた時代も影響しているのか、著者の鋭くも同情的な人間観察の視点がとても印象的でとても自然に楽しめた。

作品としての厚みがあれば、表面的な文化的差異は問題にならないということか。スペイン人がのびた君の畳敷きの家をおかしいと思わずドラえもんを楽しめる、ということとおんなじね。

次は何にしようかな、と思ってダウンロードしてあるe-booksを見てみる。ずっと読みたいと思っていたけれど、長さと翻訳の英語の難しさで敬遠し続けていたVictor HugoのThe Hunchback of Nortre Dame (Notre-Dame de Paris)を読もうかな...と思った。しかし、Les Misérablesで彼の永遠に続くかと思わせる詳細な記述の脱線にはかなりの体力を消耗させられたので、やはりもう少し積極的に読む気になるまで時期を待とうと思いやめた。

そして本棚を見上げる。

そこには義理ママが「いとこが薦めるから少し読んでみたけど、好みに合わない」といって途中で投げ出して私に押し付けたAlexandre Dumas, pèreのThe Count of Monte Cristo (Le Comte de Monte-Cristo)の黒いぶっといPenguinのペーパーバッグがでーんと横たわったいる。

うーん、薦められたわけではないけれど私はこの時代のフランスの作家が結構好きなので、ま、Hugoよりは読めるかもしれないと思って手に取った。e-bookバージョンもダウンロードしてあるから通勤の際この弁当箱サイズのペーパーバッグを持ち歩く必要はない。

数ページ読んでみる。

う、これは面白い。

英語訳も軽ければ、話の運びもものすごくドラマチックに読み手を引き込んでくれる。人気の高さと広ジャンルにわたる執筆のボリュームで当時大量生産マシーンと皮肉られた彼は、それでも結局のところ才能があったに違いない。ふとDunnasにAndrew Lloyd Weberが重なる。

ということで私は目下、不滅のリベンジ劇にひったておるところなのであった。
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by uk_alien | 2010-06-30 02:53 | books


私はあきらめが悪い。

10数年前に一回だけたまたま目にしたテレビ番組を調べ上げたことは4年前のこの記事、「執念のサーチ」に書いた。

実は、イギリスに滞在していた同じ時期によく車のラジオから聞こえていた曲があった。なんてことはない軽い感じのレゲエ調の曲。DJの英語は早すぎて曲名も歌手もわからず、HITSやレゲエHITSのCDを調べてもどうも見当たらない。

日本に帰ってからも「知りたい」という欲望は消えず、「外人のDJなら知っているに違いない」というわけのわからない理屈で、当時English OnlyということではじまったRadio JapanだかFM Japanだかという横浜のラジオ局のDJに電話して歌ってみて、「知ってる?」なんてきいたこともあったっけ。The only flaw in this bravery was that the DJs were New Zealanders, not English.知るわけないってか。

インターネットが普及してから、ふと思い出したようにサーチしてみたりしたのだが、全然ヒットせず。それでも再び先日、耳に残っているサビの部分の歌詞を何の気なくGoogleしてみた。

と、ヒットしたリストの一つにAll Reggae Lyricsがある。

これに違いないと思ってクリックすると、見つかった、見つかった。Don Campbellの'I can see it in your eyes'。

ふふふ、16年後のハッピネス。
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by uk_alien | 2010-06-27 18:40 | great about it
人の心というのはとても強く、とてももろい。



母の痴呆がひどくなり、衰弱が進んでいるという。

痴呆が始まるずっと以前から私は彼女の心の中に永く住んでいなかったのだが、これでもう居場所がないことが確定したことになる。

少し悲しい。

しかし、人生というのはそういうものだと思う。
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by uk_alien | 2010-06-27 17:08 | just a thought

潜在的天然パーマ

忙しい。一日があっという間に過ぎていく。

夜の10時にはぐったりと床に就く子供のような就寝時間の日々。

朝はこれまでのようにゆっくりシャワー&ブロードライ...なんてわけにはいかなくなった。夜のうちにシャワーかお風呂に入っておき、5時45に起きて犬の散歩から帰ってきた旦那がいれてくれた紅茶をすすりながらランチ&朝ごはんのおにぎりをすばやく作り、その後犬の散歩。(そう、彼は朝の散歩を二回するラッキーな犬。)帰ってきてからの30分ですばやく出かける支度をする。

さて、私の髪の毛は「天然パーマ」(これってもしかしたら死語だろうか)。私自身ずっと知らずにいたのだが、イギリスに来て以来美容室に滅多に行かなくなり、パーマをかけることも一切なくなったせいで気づいた次第。結構便利な頭だ。必死こいてパーマにお金をつぎ込んでいた過去の自分があほらしく思える。

それでもくりくりのリングレットほどの強さはないから、これまではトップだけドライヤーで伸ばして毛先のレイヤーのカールだけを残すというスタイルにしていた。今はもうそんな余裕すらなくなったので、夜洗髪した後に新しく買い込んだカールクリームをつけ、乾かさずに全部の髪の毛を頭の天辺にゆるく束ねてタオルをしいた枕で寝るというパターンに切り替える。

と、朝起きるとこんなような頭になっている。



おお、ふざけたくらいに美しいウェーブではないか。そうか、私の頭はこうすればよかったんだな。あと20年若ければ舞い上がって喜んでいただろうに。

新しいhairを発見したからといって、ファッションやライフスタイルや年齢が変わるわけではなく。

そこで思うのだけれど、ヘアスタイルが世の中で一番の重要事項になっている年齢のお嬢さんたち、アイロンでストレートに伸ばしたりリングレットを作ったり、高いお金を出してなんちゃらパーマをかけるのもいいかもしれないけれど、しばらくカットだけに頼り自分の髪を自然に放っておいて、どんなカールが潜んでいるのかを探ってみるのもいいかもしれない。

おばさんは自分の経験から本当にそう思うのだよ。
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by uk_alien | 2010-06-26 06:47 | just a thought

At your service

私の35mmレンズの具合が悪くなった。バレルを触るとどこかのネジが緩んでいるように、カタカタと動く。どうりで焦点が合わないはずだ(なーんて、自分の腕の悪さを棚に上げる)。

修理に出すと思うと気が重いが、35mmはM8につけると47mmの画角で、私が一番よく使うレンズ。奮発してSummilux(f1.4)を買ったので、暗い状況でも手持ち撮影が可能な、とても便利なレンズだ。

Milton Keynesにあるライカにメールを打つと、いつものようにパーソナルタッチのメールが帰ってきた。「直接Special Deliveryで送るか、最寄のライカディーラーを通してMilton Keynesに送ってね」という。

Royal Mailは信用出来ないので多少手数料を上乗せされたとしてもディーラーを通すことにしよう、と思い、昼休みに会社の近くにあるショップに行く。

ブザーを押して中に入れてもらうタイプのフロントドアをくぐると、気のいいflamboyantな感じのオーナー、Mr Caplan自身が接客してくれた。「セカンドハンドで買っているのでパスポートはなく、最初にどこの国で売られたものかはわからないんです」といいながらレンズを見せると、「問題の具合によってはMilton Keynes経由でドイツに送ることになる、そうすると少なくとも6週間はかかるんだよ。ちょっと待ってね、今Milton Keynesのエンジニアと話をするから」

話の具合によると、恐らくは国内で修理が可能なようとのこと。「ライカパスポート期限内(保証期間内)だったらドイツに送らなければいけない決まりなんだ、Milton Keynesでことが済めば、2週間くらいで戻ってくるばず。よかったね」とMr Caplanは微笑む。

Yes Minister/Prime MinisterのBernardを少し思い起こさせるMr Joachimに名前や住所を伝える。「フードやフィルターを外した方がいいでしょうか」という私にMr Joachimは「いえ、逐一記録に記載しましたのでそのままで大丈夫です」と控えめにいい、それらが記載された預かり書のプリントアウトを手渡してくれる。

すごい。こういうサービスを受けられる世界なのね。

いつものレザーケースにいつもの通りちんまり収まった私のSummilux-M 35mmは、こうしてMilton Keynsに送られる他のさまざまな機材にジョインした。



10日後。レンズの修理が完了したので引き取りにお越しくださいというメッセージをもらう。

「運がよければ100ポンドくらいだろうか、300ポンドくらいだろうな、きっと。500ポンドとかいったら泣けるな、でも買うより安いからしょうがないか」と修理代を心配しながらショップのドアをくぐる。Mr Joachimに名前を告げると引き出しから私のレンズが現れた。おかえり。

触って確かめるとしっかりした手触りが戻っている。フォーカスリングのすべり具合がかたくなってしまっていたらいやだなと思いながら心配して触ると、それもスムースなまま。

礼を言って財布をとりだす私に、Mr Joachimは静かに「大した問題はなくネジを締め直すといったシンプルなことで済むことがわかったので、ライカの好意で修理代は無料とのことです」と言う。「滅多にありませんが、修理がシンプルならこういうこともあるんです。ライカのgood willですね」

財布を握り締めながらぽかんと彼の目を見つめ「Good will... lucky me...」とまぬけてつぶやく私に「ふふ、lucky you」と控えめに微笑むMr Jachim。



こんなショップに、足繁く通うことはまずないだろう、ということで、せっかくだから暫く気になっていたライカの高級コンパクトカメラ、X1を見せてもらうことにした。

X1は12.2Mpx、プロパーなElmarit 24mm短焦点レンズが使われている。画角は35mm相当、Elmaritが生み出す画像はとてもシャープで美しい仕上がりだ。コンパクトなのにISO感度は勿論、フォーカッシング、露出、シャッタースピードすべてがマニュアルになるという理想のハンドバッグカメラ。バッテリー込みで330g!同じ35mm画角にあたるM8(545g)+Elmarit-M28mm(180g)のコンビだと725g。ハンドバッグにぽんと入れ込むというサイズ/重さではない。



問題はプライスタッグだ、勿論。1395ポンドなり。うーん。ふと、滅多に使うことのないSummilux M50mmを売り飛ばしてX1を買うこが頭をかすめる。

いや、4~5年後くらいにM10が発売されることになって本体をアップデートすることになったら、フルフレームセンサー上ではこの50mmが私のメインのレンズになることになる。そのときに本体の差額に加えてSummilux 50mmを買う余裕と気力が私にあるとは思えない。

仕方がない。ハンドバッグをバックパックに変え、395g分余計に毎日持ち歩いて通勤しよう...と心に決める私であった。
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by uk_alien | 2010-06-20 18:19 | photography

新しい日課



新しいポジションはフルタイムの指定だったのだが、時間を少し削ってらいパートタイムにしてもらった。

それでもこれまでと比べると、通勤の関係もあり、かなり長時間犬を留守番させることになる。

プロのドッグウォーカーを雇おうか、それとも、彼よりもっと長い時間家で留守番している犬も沢山いるんだから我慢してもらうか...と決断できずにいた。

と、前のオフィスの同僚のお姉さんが、

「近所の親しい人に声をかけてごらんなさい。(I don't want to make them feel obligedと心配する私に対して)お願いするのではなく、相手が気兼ねなく断れるスタンスのプローザルとして。近所の人がどんなにあなたを助けたいと思っているか、驚かされることも結構あるのよ」

という。そんなもんなのかもしれない...。



親しくしている向かいのおばちゃんは70代。彼女自身犬を二匹飼っているのだけれど、膝の痛みがたいそうひどく段差をまたぐのも一苦労。そんな彼女に相談して、逆にウォルターのことを心配しつつも断らなければいけない状況に彼女を追いやるのはフェアじゃない、と思っていた。

しかし、実際私の帰りの電車がひどく遅れた場合のことを考えると誰かに犬の用足しを頼まなければならないのは必至だし、私の生活パターンの変化もきちんと説明しておかなきゃ、と意を固め彼女のドアを叩いた。

「It's only me!」「Hello, come in!」と庭に通してもらう。「なんだかこうして訪ねるのも妙に久しぶりだよね」と同意する。寒く長い冬で閉じこもっていたせいか、典型的なbussy beesで私たちが自分たちのことだけに目がいっていたせいか。

お互いの最近のニュースなどを交換し、私の新しい仕事のポジションと時間のことも説明した。

「万一帰りの時間が遅れるようなら電話をくれればウォルターを庭に出すことくらいなんともない。たったお向かいじゃないか、段差も杖を使えば大丈夫。この忌まわしい膝も使わないことには更に悪くなっちゃうんだから」

と言ってくれる。もしドッグウォーカーが必要だと判断することになったら、支払いを条件に引き受けてもらえる可能性はあるだろうかと訪ねると、彼女らしく、それに付随する危険と責任を考えた上で、可能性としてはyesだと答えてくれた。



と、翌日の土曜の朝、車のワイパーにメモがはさんであるのに気づく。向かいのおばちゃんからだ。いつものように使い古しの封筒の裏に走り書きで、「一つのアイディアとしてふと思い浮かんだんだけどね、私がお昼をとる時間に一時間、毎日ウォルターを家に預かるというのはどうかしら?」とある。

後で旦那とウォルターを連れておばちゃんの家に行くと、「やっぱり一人で残されるにはかなり長い時間だと思うのよ。どうせ向かいなんだし、私がランチを座ってとる時間(彼女は信じられないくらい働き者で、座って休むのはランチの時間と長い一日が終わった晩くらいなもの)家に連れてきて庭で用足しさせてやって、他の犬たちと遊ぶことが出来ると思ったんだよね」

という。ウォルターが長時間家に残されるのを黙って見過ごすには胸が痛む、しかし未知の危険の要素が伴うドッグウォーキングはすばやく動けない自分の体では責任を負いきれない、それなら近所のよしみとして安全な自分の庭で自分の負担にならない時間だけウォルターを預かることで、彼の一日がbreak upされるなら、それが一番なのではないか、という提案だ。

もう、どう伝えていいのかわからないくらい感謝の気持ちでいっぱいになった。

庭の芝刈り、家の周りのodd jobs、雪の日のドッグウォーキング - 私たちが出来る限りの助けを提供することを約束し、今週から一週間のトライアルがはじまった。

日課:
旦那、5:15に起床。ウォルター、朝ごはん。30分の散歩。
私、5:45に起床。ウォルター、更に45分の散歩。
おばちゃん、12:00頃我家にやってきてウォルターを連れ出し一時間預かり、再び我家に戻す。
私、帰宅。ウォルター、ディナー。30分の散歩。

結果:
ウォルター、へとへと(笑)。私たちもだけど。

ウォルターはこれまでより長い時間散歩をしてもらって、大好きなおばちゃんとdoggie friendsに毎日会うことができて、もう目に見えてハッピー、ハッピー。時間があればころんと休んでいる。日照時間の短い冬には朝の散歩をずらし、散歩時間も減らさざるを得なくなると思うけど、それでも彼にとっては悪くない一日の日課だと思う。

昨日の土曜の朝は、私はおばちゃんの布団のカバーを交換し、旦那はおばちゃんの庭の芝刈り。

「本当に助かったよ。ウォルターを毎日家に連れてくるのは全然問題じゃないから」というおばちゃんに、「感謝の気持ちが時とともにうすれてしまうのは人の性かもしれないけど、それでもこれがmutually beneficialであるようベストを尽くしますからね」と伝え、We'll see. We'll see how it goesと微笑みあった。

私はこれまで'mutual'のバランスが崩れるのを恐れ、こういう形で人と助けを与え合った経験が少ない。だから新しい経験。

It might work, it might not. So, we shall see.
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by uk_alien | 2010-06-06 18:29 | just a diary