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Glenn Gouldの鼻歌



今は亡きチェコ人の義祖母は大の中東欧~ロシア系のクラシックファンだった。彼女が亡くなって、私たちは彼女のGrandfather Clockと、古いねじ巻きの置時計と、ディスプレイキャビネットを引き取ったのだが、それらと一緒に私は彼女の妙なCDコレクションを引き継いだ。

コレクションが妙といっても、義祖母が住んでいたフラットの近くにはクラシックの専門ショップがあったそうで、中には結構なスグレモノがあったりする。Glenn Gouldが弾くJS Bach, The Goldberg VariationsのCDもその一つ。

昨夜はじめてiPodに移しておいたこのCDが帰りの道すがらにかかった。

スピーカーで聴くとやや棘が目立ってしまうこの演奏は、なぜかiPodできくと逆に溌剌として聴こえた。そういうこともあるんだな、と思っていると、ふと、誰かがピアノに合わせて鼻歌を歌っているのが聴こえる。あたりを見回すと誰もいない。暫く歩きながら聴いていると、やはり音楽に合わせた鼻歌が聞こえてくる。

演奏者のGlenn Gouldがピアノを弾きながら「歌って」いるのだ。それが丸ごとレコーディングされている。スピーカーで聴いていたときには全く気づかなかった。Capital。こりゃ傑作だ。

西日が照りつける道をてくてく歩く私の頭の中を、この美しいピアノの音とおじさんの鼻歌が流れる。まるでカラフルな三角帽をかぶり先のとがった靴を履いた細身の生き物が私の歩く少し後をスキップしながら踊るようについてくる、そんな感じがした。
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by uk_alien | 2010-07-29 02:45 | music

人の好みは十人十色

先週の金曜日はProm6、Beethoven Piano Concerto No.1とNo.4が放送された。ピアニストは俳優のRufus Sewellを思いおこさせるdashyなルックスのPaul Lewis。

結構楽しみにしていたのだが、実際聴いてみるとこのピアニストの演奏、ひどく耳障りでとても楽しめない。演奏が下手というわけでは全然ないのだが、こう、なんていうか、全然、ぜんっぜん、美しくないのだ。ピアノを弾いているというよりは鍵盤を叩いている(bashing)といったほうが適している。

「ま、そんなに酷評せずに。すごい技術だよ。そういう風に演奏するよう書かれたんじゃない?」と旦那。

No.1が終わり、観客からBravooooo!の声と拍手喝采が湧き上がる。うぇー、本当かいな。ラップトップをひっぱりだし、ネットでレビューを読んでみる。The IndependentもTelegraphもべた褒め。うへ~、やっぱり私にきく耳がないんだ。

ま、人の好みは様々、とひらきなおってNo.4を聴いてみる。No.1よりはましなような感じだけれど、それでもこのピアニストの演奏、全然心に響いてこない。

翌日の土曜は非常に印象的なVasily Petrenko が指揮するRoyal Liverpool Philharmonic Orchestra。タコの足のようにしなやかな手さばき(ん?)に見とれた後、RachmaninovのPiano Concerto No.2ですっかり上機嫌になった義理ママと電話で話をする。

ひとしきりPetrenkoの魅力とRachmaninovの美しさを共に賞賛した後、義理ママが「昨日のBeethovenのピアニストをどう思った?」と意味深に聞いてきた。彼女は大のBeethovenファンで、ピアノは一番のお気に入りの楽器。必然的に彼女はBeethovenのピアノコンチェルトには造詣が深い。「技術的には優れているのかもしれないけれど全然演奏に深みがなくて、私は全然楽しめなかったわ」と彼女。

私だけじゃなかった。ほっ。

今週の金曜日は再びPaul LewisのピアノでBeethoven Piano Concerto No.3。うーん、あまり楽しみじゃないけど、観てみようと思う。
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by uk_alien | 2010-07-28 04:03 | music

A tad more food



気圧が安定しないと私はひどい頭痛に悩まされる。今回もそうなのか、それともウィルスなのか、ひどい頭痛とめまいと疲労が続き、ついに我慢しきれなくなって先週2日間会社を休んだ。

会社の上司に連絡すると同時にいつも犬のウォルターの面倒を昼間みてくれる近所のおばちゃんにも連絡を入れる。「今日は病欠で家にいるから犬の心配はしなくていいですよ」

休んでも休んでも休みきれず、週末やっと動けるようになったので、おばちゃんの家に行く。暫く話をしてみて、おばちゃんいわく、もしかしたら私のダイエットは品目に乏しく、食べる量が運動量に比べて少ないのではないか、とのこと。

早朝から夕方までシリアルやおにぎりなどの少量の炭水化物に頼り常にお腹を空かせ、あくせくしている状態。これを、少量のチーズなどでたんぱく質を意識的に多く摂取し、バナナや他の果物、ビスケットなどで日中を通しエネルギーレベルを保つようにしてはどうかという提案だ。

A tad more. Just a tad more food might be good for you.

更に、毎朝一杯のマーマイト・ドリンクをすすめられた(笑)。「え?マーマイトを、飲むの?」と驚くと、「体にいいんだよ。昼間の作業に必要な塩分もとれる」という。んじゃ試してみようとおばちゃんのキッチンでティースプーンに軽くマーマイトを一杯、お湯で溶かして飲んでみる。

うーん、悪くない。日本の海苔の佃煮をご飯の上にのせてお湯をかけたときに味わうお湯の味に近い、といえばいいだろうか。ビタミンBが豊富でfolic acidが貧血の症状の緩和に効果的だという。

おばちゃんが「スターターパックとして持っておいき」と大きなマーマイトジャーを差し出すので、それはフェアじゃないと、義理ママお手製のマーマレードとクラブアップルジャムとトレードし、早速このマーマイトドリンクを毎朝飲んでみることにした。

月曜には会社の近所のスーパーで果物を沢山買い込み、オフィスの机の上に山積みにした。ビスケット…と思ってM&Sのプレーンダイジェスティブビスケットも買ったのだけれど一枚80kcalの表示と後に残る強いあと味に驚き、ここまでハイカロリーじゃなく、もう少し頻繁に食すことが出来てエネルギーレベルを保てる何か別のものを探すことにした。

こうして二日間。血糖値が極端に下がることがないからか、疲労の具合は少しずつ回復しつつある。

モーニングティーのかわりにモーニングマーマイト…。薄黒い液体をじっと見つめつつ、なんだか胃袋までしっかりブリティッシュになっていく気がした。
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by uk_alien | 2010-07-21 04:18 | neighbours

楽しいWagner

どうせ退屈に違いないという偏見を見事に覆してくれた昨日のWelsh National Opera, Die Meistersinger von Nürnberg。

前評判通りHans Sachsを演じたBryn Terfelの温かみのある演技と歌唱力は勿論、Beckmesserを演じたChristopher Purvesのチャームは舞台ならではのエンターテイメントの醍醐味をしっかり押さえ、観客を楽しませてくれた。Davidを演じたAndrew Tortiseのソロは聴くに耐えがたく、こちらが恥ずかしくなって顔を覆ってしまうことが多々あったのは事実だが、「長いソロの上、ハイノートがちらばめられた難しいパートで、歌いきるにはとても難しいに違いない」と逆に同情を引かれるほど、他のキャスト/オーケストラのまとがりがよく、楽しいプロダクションに仕上がっていた。

私はこれまでオペラはセットがしっかりしていなければいけないという頭がどこかにあった。劇場に出向いて演奏と歌唱の質がイマイチな上セットもシャビーとなった場合救いようがない、という落胆に対する警戒心があったためだ。しかし今回の舞台はno set/no costume。それが全く気にならないほど、キャラクターに吸い込まれる。200ポンド払ってそれでもmediocreな歌唱を壮大なセットと豪奢な王立劇場という経験で補うか、50~60ポンド払って同レベルの歌唱をチープ&チアフルなセットとノーフリルズのローカルな劇場で楽しむか。それぞれ異なる楽しみ方だということなのだな。昔、友人に「あなたは芸術の体力がない(洗練されていない芸術を楽しめない)」と批判を受けたが、私も徐々にこの体力をつけてきたということだろうか?

Wagnerの音楽も、コメディーというgenreのおかげで眉間に皺を寄せた厳格な印象はなく、MozartのLe nozze di Figaroのように軽いタッチのコメディーでリラックスした耳と心にこよなく美しい音楽がするりと忍び込む瞬間がとても心地よい。更に英訳でしか理解するこは出来なかったが、いわゆるミュージカルのように歌詞がストーリーをしっかり語っており、言葉を音としてだけではなく意味として楽しめる感じがした。Waltherが彼の歌の中で賞賛する自然の美しさはヘッセの繊細な自然観を思い起こさせる。うーん、いいなぁ。

合計4時間。残念ながら真夜中まで起きていられなかったのでAct 2が終わった段階で残りの部分の録画をセットし、就寝した。

Arcam AVR600+Dynaudio Focus110x4 + 220cフルサラウンドで楽しむProms 2010。
はじめてTV Licenceのもとをとった気がした。
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by uk_alien | 2010-07-18 16:42 | music

Proms 2010

壮大な500人のコーラスとまあまあのオーケストラ、弱々しいテノールとスケールにしてはバランスのとれたsound engineering(と私は思った)のMahler Symphony No.8で今年のPromsが昨日幕を開けた。

在英11年、これまで私は一度もPromsのコンサートに足を運んだことがなければTVの中継に食いついて観た事もなかった。なんだか繁忙期の観光地にわざわざ出向くような気がしてどうも気が進まなかったのだ。

しかし、あの気が狂ったようなワールドカップシーズンのおかげで気持ちが変わった。IF YOU ALL ARE TO ENJOY THE BLOODY FOOTBALL SO EXPLICITLY TO MY ABSOLUTE ANNOYANCE, I WILL, TOO, DECIDEDLY ENJOPY WHAT I LIKE WITH ULTIMATE PASSION!というわけのわからない理屈が頭をかすめたことは否めない。

Promsを含め、オペラやコンサートのTVカバーはRadio Timesを熟読する義理ママにいつも頼っていたのだが、今年は違うぞ。自分たちのRadio Timesの付録のPromsガイドにしっかり目を通す。ワールドカップのトーナメントポスターと同じように職場の壁に貼ってやりたいくらいだ。(←根に持ってる)

と、料理をしながらガイドに目を通していた旦那が「君が好きなBruchのViolin Concerto No.1が演奏されるよ」というのでバイオリニストは誰かと聴くと、「James...Er...Erne...」と読めずに詰まっている。「James Ehnes! The Canadian!」と叫んで走り寄る私に彼は「if you say so」とプログラムを明け渡す。

おお、すばらしい。これは録画、という意味で赤いボールペンで丸をつける。

もうチケットは残ってないよね、と思いながらネットで見てみると、いやいや、残ってる、残ってる。そうしてしっかりGrand Tierのチケットも2枚買い込んだ。

今夜はDie Meistersinger von Nürnberg。軽薄系クラシックファンの私はWagnerはあまり好きではないのだが、興味半分で見てみるつもりだ。
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by uk_alien | 2010-07-18 01:41 | music
私はフットボールには全く興味がない。

ワールドカップの期間中はオフィスはその話題で持ちきり。もう、げんなり。

親切な同僚たちは、私が会話に参加しない理由を出身国の違いと察し、「日本のチームの試合、昨日見た?」「日本は以外とがんばってるよね」「昨日の試合、日本はおしかったね」などと言って会話に入れてくれようとする。それはそれでとてもありがたいのだが、私は日本に対するそういう意味での愛国意識は全くない上に、かの国のフットボールチームのこととなると、スコットランド山岳地方の昨日の天気予報よりも更に興味がない、というのが実際のところ。礼儀正しく微笑み返し「惜しかったですよね」などとわけのわからぬことを口走ってごまかしていた。

旦那も同じ。しかし、職場の狂ったようなフットボールの会話にとりあえずついていくためにも試合には目を通しておかなければいけないという英国男児の性で、イングランドの試合はとりあえず全部観ることに。

庭仕事を終え、対ドイツ戦を観戦するためにリビングルームに引っ込む旦那を尻目に私はパラソルの下でラウンジャーに寝そべりラムをすすりながら強い日差しに照らされた美しい景色をぼうっと眺める。



イギリス中のTVが今この試合(と、試合前一時間にわたるフットボールトーク 笑)を映し出しているんだよなあ。皆、勝つかもしれない、勝ってくれ、という期待と希望で胸を膨らまし、ビールとピザで腹を膨らまし...。

ふと、一体どちらが勝つのだろう、スコアは何なのだろう、という疑問がはじめて頭をかすめた。国中の皆さんが期待と不安でテレビをにらめつける一方で、もし結果を既に知っていたとしたら、それはそれで、いとおかしというものだ。

と、首周りに黒っぽいトリミングのある白いユニフォームの人たちが勝つのが見えた。ふーん、そうなのか。で、スコアはなんだろうと思い景色を眺めると4-1の色合い(私は数字に色がついて見える)が感じられる。興味や利害の全くないことがらに関する直感的、決定的、確信的ビジョンだったので非常に愉快な気分になり、旦那に教えてあげようとリビングルームに行くと、試合がちょうどはじまったところだった。

TVに映し出される選手たちを見て「この白いユニフォームはどちらの国なの?」ときくと、旦那はドイツだという。「ふーん、残念だね。白いユニフォームが4-1で勝つよ」と伝えた。「だって、庭に座ってたら見えたんだもの」



再び庭に寝そべり休んでいる私に、時折旦那が「どんどんスコアが入ってるから、ドイツは4点以上スコアするよ」だの、「今もう4-1だけど、まだ20分もあるからスコアはきっと変わるよ」だのと言いに来る。

「Don't worry. It WILL be 4-1 to the white uniform. 'Cause I saw it.」

最後の2分間を旦那と一緒に観る。試合終了の笛がなり、「ね、言ったとおりでしょう?」と向き直る私。旦那の無言の顔に「SPOOKED」と書いてあるのが読める。

そういうこともあるのだ。利害が全くない場合は。

で、じゃあどこが優勝するのかという話になるわけで。

緑色に黄色のトリミングのシャツと赤と黄色のシャツが見えた。緑色が勝ったと思って、友人に言うと、「緑色のシャツのチームは皆負けてしまったからもう残ってないよ。赤と黄色はスペインだな」という。ファイナル前に旦那に各チームが試合で着用する予定のシャツの写真をネットで見せてもらっても、どちらも私が見たものじゃない。

ちっ。結局そんなものね。

たまたまTVをつけたらちょうどファイナルが終わるところだった。スペインが勝ってオランダのチームとユニフォームを交換している。やはりどちらのシャツも私が見たものじゃない。タコにもおとるというわけかい?旦那にそういわれて無性に悔しくなる。

「まあまあ、これでワールドカップのキチガイ沙汰も終わったんだから」となぐさめられ、ふと再びTVに目をやると、スペインの選手たちが違うユニフォームに着替えて勝利を祝っている。

緑のシャツに黄色のトリミングと赤と黄色のシャツ。
スーツのおじさんが優勝カップを緑のシャツに手渡す。



I saw this! I saw them!

と叫んでも後の祭り、ドッジーなpsychicを見る目で旦那に見返された私であった。
それでも「ふん、I was right.」と一人でうなずく私はやっぱりドッジーなpsychic 笑。
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by uk_alien | 2010-07-17 20:59 | just a diary

Pub after pub...

サマーイベントにお別れ会、歓迎会に試験合格祝いの飲み会、金曜だからガールズナイト....。

さりげなくNoというのにもついに限界がきてしまった。

新しくジョインしたチームのチームビルディングを優先するか、unsociableのレッテルを恐れずに自分のライフスタイルを優先するか。

過労気味という状況も手伝って真剣に自分のpriorityがどこにあるのかをしっかり見極めるてみる。

決めた。ランチタイムのパブは出来る限り、一切合財をなげうって参加することに。他の女の子たちがコーラやオレンジジュースをチャーミングにすする中しっかり自分だけエールをパイントで飲み干す。げふっ。でも夜のイベントはしっかり断ることにした。

私は犬を飼っているんです。
そしてその責任をとても真剣に負っているんです。
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by uk_alien | 2010-07-10 04:33 | work