お父様、お母様

日本では小さな子供は両親のことをパパ、ママと呼ぶ。大きくなるにつれそれが(お)父さん/親父、(お)母さん/お袋に変わっていく。おポッシュな桜小路さんちは「お父様、お母様」なのかもしれない。

このパパ、ママはイギリス英語ではpapa(ぁと二つ目の「ぱ」にアクセントがくる)、mama(ぁ)となり、「昔は超ポッシュなご家庭で使われてきたが、今では古風な表現とされている」とうのが私の理解だった。ビクトリア時代を背景にしたBBCのドラマ、Little DorritでAmyが父親のことをFatherと呼ぶのをチューターに「Papaと呼びなさい、Fatherは低い階級の人が使う言葉です」とたしなめらたのがとても印象的だったのを覚えている。

今日、会社の近くのカメラ屋に立ち寄り、カメラバッグをふらふら見ていたときのこと。陳列棚にきれいに陳列されている小型のビデオカメラの一つを手にした12~13歳くらいの白人の男の子がファインダーをのぞきこみながら、少し離れたところに立ってカメラバッグを見ている背の高い50歳くらいの男性に向かって大層失礼な口調で偉そうに命令している。

「Papa, Papa! Come! Come here. Look this way, look. Papa, look, now! Look at me NOW! 」

驚き桃の木。まだこういう輩が生息しているんだ。そういえば今週はハーフターム。近所に超ポッシュなグラマースクールがあったっけ...。それとも少し離れたところにある全寮制の学校か...。

この「両親への尊敬」という美しい孔子(だったっけ?)の教えがざっくり欠落したposh bratの存在があまりにショックだったので、カメラバッグをながめながらしばらく彼の言葉に耳を傾けた。

「Oh, Papa. I love all the technologies I am seeing in this place. It's marvellous.」(ポッシュスクールで強調された上流階級のアクセントとイントネーションで)

場所が違えばあとつけられてぼこぼこにされてるんだろうな、こういう輩は。「親を見れば」というけれど、最近は「子を見れば親がわかる」という気がしてならない。この父親も予想たがわず。このくそ生意気な態度の息子を制するどころか、「Wait a minute. I am looking at something here. Are you taking a picture of me? Oh, no.」(ポッシュさが抑制されたRPアクセントで...ということはこのがきんちょは全寮制に違いない)と呑気に返している。ああ、やだやだ。

家に帰って旦那に聞くと、どうやらPapa/ Mamaは今だに死語ではないらしい。「僕が学校に行っていたときもポッシュな家の子達は男の子も女の子も皆使ってたよ。僕は使わなかったけど...」 ←中流階級の悲哀。

イギリスは何年住んでもいろいろ驚かされるので本当に飽きない。
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Commented by coquille at 2009-02-17 16:36 x
フランス語では、普通に誰でもpapa、mamanですね。アメリカ英語だとどうなんでしょ?イギリス人と同じなのかなぁ。
ちなみに我が家では幼かった頃、親は私の事を「ちゃん」づけで呼び、ある日を境に呼び捨てになりました。不思議(汗)
Commented by みら at 2009-02-19 07:34 x
ドイツでも、「Papa/Mama」が一般的なんですよね。息子もかなり長いこと、習慣で「Papa/Mama」だったんですが、いきなり人前ではこの表現を避けるようになって、もしかしたら学校か友達の間で何か言われたのかも(笑)。
勉強になりました。

(コメント、もしかしたらはじめてですね。いつも読み逃げばかりですみません。毎回楽しみにしております。)

Commented by uk_alien at 2009-02-20 02:30
coquilleさん、私はアメリカは行ったことがないのでわかりませんが、メディアを通して見ていると、普通の家庭ならイギリスと同じくDad/Mom(Mumじゃない...)のようですよね。おポッシュなアメリカンファミリーもやはり「ぱぱぁ、ままぁ」なんでしょうか。知りたい...。

親御さんの「ちゃん」の省略は何かきっかけがあったんでしょうかね。「coquilleもずいぶん大きくなったものだ。そろそろちゃんづけはやめよう」、みたいな打ち合わせがご両親の間であったのかも 笑。
Commented by uk_alien at 2009-02-20 02:39
みらさん、ご両親に何も告げずにさりげなく態度をかえる息子さんがいじらしい...。いくつかの言語や文化をジャグルしながら育つお子さんたちは周囲の状況によって自分の中のスイッチを自然に切り替える能力が増強されるようですが...。子供ならではの適応力ってやつでしょうか。

読み逃げ犯だったのですね...って私も結構やっております 笑。
Commented by ihoko at 2009-02-20 02:44 x
イタリアはPapa mammaですね。パの最初にアクセントが来ると、法王になっちゃうので当然、あとのパにアクセントを持っていきますが、トスカーナではバッボと呼ばせる家も多いようです(どちらかと言うとラフな感じ)でね。ここがイギリスと違うなと思ったのは、Fatherにあたる、PADRE(パードレ)は、昔の上層階級が使っていた呼び方のようで、昔風の貴族ドラマでは、これにつきます。また、イタリアでは、人に対する敬語は、普通なら2人称単数を使うところを、3人称単数の語尾変化を用い、更にその上を行く、階級の違う人に対する言葉は、2人称複数の語尾変化を用いる。となっています。実は私、勤めた時に、この使い分けがうまく出来なくて、知らずに、2人称複数で話していたら、ものすごいスノッブな子だと思われてしまった。というお馬鹿な話がありました。
Commented by uk_alien at 2009-02-20 06:55
ihokoさん、イタリア語ものすごい複雑、完敗。よくやってるわ、ほんとに。アクセントによって法王になっちゃうというのは可笑しい。
それにしても、フランスのcoquilleさんにしろみらさんのドイツ語にしろ(みらさんは確かスイスだったような、ということは他にも話すのかな)ihokoさんのイタリア語にしろ...みなさん超人でらっしゃって...たかが英語なんかで四苦八苦している自分がいやになってしまうわ、ほんとに。はぁ...
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by uk_alien | 2009-02-17 07:16 | just a thought | Comments(6)

カメラ小僧のイギリス帰化人。愛機はライカMモノクローム。はたと思い立って始めた大人ピアノ初心者で目下楽しくて仕方がないピアノ練習と音楽理論の勉強をブログに綴る日々 ー London UK


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