犬失敗、もとい、大失敗 (続き)

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私は「人生に後悔はない!」と大言をはけるタイプではなく、後悔はわんさかあるが、この犬の件に関しては「失敗」と「後悔」をそれぞれboldにしてアンダーラインを引いて32ポイントくらいのでかさにしてもまだ足りないくらい後悔している。

旦那と協力しあって交互に犬のために休暇をとった。人ごみ、電車、車慣れするようにつれて回った。ウェットフードとドライフードを合わせ、更に野菜を煮たものとコッドリバーオイルとマルチビタミンでバランスのいいダイエットを心がけた。朝晩と散歩に連れて行き、思いっきり走れる柵で囲われたフィールドも近くにあった。ビスケット、チーズ、犬笛を使ってトレーニングに時間をかけた。トイ、チュー、ブラッシング、歯磨きetc....出来ることは何でもした、と思う。

しかし、「穏やかな性質」の犬種のはずの彼は一年たっても狂ったように他の犬や子供を追い掛け回した。他の犬と遊びたがるのは1~2歳の子犬の性なのだが、彼の問題はこの、「狂ったように」というところだった。リードから放すのは気性が落ち着くまで無理と判断した。ADHDは犬にもあるんだろうか、とふと思った。

ある日、チェスターの川沿いを友人夫婦と彼らのGレトリバーと散歩した。彼らの説得もあって、「Gレトリバーに大分遊んでもらったし、大丈夫かもしれない」と思った私は彼をリードから放した。暫くして遠くにテリアを見つけた彼は、「喜びいさんで挨拶をしに行った」。テリアの飼い主はこれを「狂ったように襲いかかった」とみて私の犬を足蹴りしてテリアから遠ざけようとした。私は「やばい」と思い現場へ一目散にダッシュ。その間に足蹴りを目撃した別の犬の飼い主がその男性に食って掛かりはじめた。「何があっても犬は蹴るもんじゃない!」「冗談じゃない、こんな犬に私たちの犬を殺されてたまるものか!」大声の言い争いになった。私は二人の間に文字通り割って入って双方をなだめ、まだ遊びたがっている犬を連れてその場を離れた。

この犬が一番望んでいるのは常に一緒に遊んでくれる犬だというのが痛いくらい常に、常に感じられた。その欲求をそらしてあげるには、いつも片時も離れず誰かが近くにいて人の愛情をそそいであげることなのだろうと思った。しかし、フルタイムで働いている私達にはそれはできなかった。旦那と私、どちらもいなくなるのは6時間。6時間の孤独。

朝晩、週末、プラス休暇を使ってできる限りのことをしたがこういう気性の犬に6時間は長すぎた。(イギリスの一般常識では犬をスーパーバイズなしで置いておけるのは最長4時間だそうだ。)彼はフラストレーションから彼のスペースとして与えられたユーティリティールーム(5~6畳くらいの部屋)を可能な限り破壊し続けた。まだ、子犬なんだ、だからしょうがない、と思って一年努力したが、状況は全く変わらなかった。もう1匹の同種の犬を加えることも考慮したが、果てしない努力の末の無残な挫折感に仕事の疲労が加わって、私達にその気力はもう残っていなかった。もし同じような気性の犬が加わったら私たちの身が持たない...。

どんな激しい気質の犬でも3年たては落ち着いてくる。でも私たちはこの犬にあと2年がまんできるだろうか?私たちにこの犬への愛情が残っているのだろうか?意地で続けているんじゃないだろうか?この犬にとってフェアなのだろうか?

策がつき、意を決してブリーダーに相談をした。私達がしたこと、出来なかったこと、この犬がしたこと、しなかったことを出来るだけ説明し、写真も見せた。そして恐らく彼が一番幸せなのは同じ犬種の犬達と暮らすこと、それでなければフルタイムのスーバービジョンが必要だと思うが自分達にはそれを提供してやれない旨説明した。

明らかにこの犬種らしからぬ気性、行動と破壊行為にブリーダーは大変驚いた様子だった。私たちの「育児疲れ」があからさまに出ていたのか、彼女はリホームするにしろ、自分が飼うにしろ、まずは引き取りを申し出てくれた。私たちはそれが彼にとっても一番だと合意した。

それから一ヵ月後、彼は大喜びでブリーダーの飼う他の6頭に加わった。幸せそうだった。この犬種は特にパック・アニマルの傾向が強いと聞いていたが、この点はよくあてはまっているなと苦笑した。ブリーダーに対しては本当に申し訳なかった。自分が恥ずかしかった。こうして文字にしても、「最初からそんなことはわかっていたはず。無責任。」といわれてももう何もいえない。ただ、最終的には彼にとって一番幸せな選択をしたと思っている。
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Commented by leira-london at 2006-03-04 01:16 x
犬にも性格がありますからねぇ。仲間が欲しかったのね。

そうそう、隣の例の大騒音ユダヤ人女、犬を散歩もさせずにほったらかしに(しつけもしていなかった。庭におしっこ、うxxしまくり)していたので早死にしてしまいました。
Commented by uk_alien at 2006-03-04 03:09 x
leira-londonさん、もうおっしゃる通りです。やっぱり子犬から飼うからにはどんな性格にしろ対応できるように受け皿を大きくしとかなくてはいけないのだと痛感しました...。隣の犬、かわいそうでしたね。RSPCAものですね。
Commented by nantoka at 2006-03-04 04:00 x
その気持、よーく分かります!! 前に話した「すみちゃん」と、話が混合してしまう位です。
すみも、そりゃ~もういつも遊んでやらないと、気がすまない子で、頭が良いので逆に、バカされたり。笑
すみを旅行するため、ドッグシッターに預けたら彼が驚いていました。「こんな、ハイパーな子は滅多にいない」と。それでも、辛抱強く躾を続けたり、芸を教えたり・・・疲れてました。キプロスに連れて行けなかったのは、事実ですが、実は彼女の為にもっと田舎の広い庭が有る、しかも犬の仲間が居る環境が良いだろうと、密かに思い、手放したのです・・・私も、uk-alienさんとまったく同じ心境です・・・
Commented by uk_alien at 2006-03-04 18:22 x
nantokaさん、そうでしたか。結構トラウマなので似たような経験をされている方の話をきくと自分達だけじゃないんだと自分を言い聞かせることが出来ます。あれから2年半たって、やっとフルの仕事を辞めた今、旦那も私も犬を飼いたいのですが、生活が変わって1年じっくり様子をみてから犬のことを考えようね、といっています。
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by uk_alien | 2006-03-03 22:14 | animals | Comments(4)

カメラ小僧のイギリス帰化人。愛機はライカMモノクローム。はたと思い立って始めた大人ピアノ初心者で目下楽しくて仕方がないピアノ練習と音楽理論の勉強をブログに綴る日々 ー London UK


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