Geoffrey Gurrumul Yunupingu

雨がガラスの屋根にあたってやさしく音をたてていた。春から夏にかけて惜しみなく精を出して面倒を見てきた庭は、このさしてよくもない天気ににもめげずにすこぶる美しく、それに励まされた私は亡くなった義理の祖母の遺品のCDコレクションの中から以前確か目にしたと記憶するMaria Callasを文字通り「掘り出し」てCDプレーヤーのスロットに差し込んだ。

録音技術が進化する1980年以前のレコーディングも含め、彼女の死去を惜しんでベスト中のベストを集めたこの全集は、稀な才能を持ったこの歌姫の絶頂期を惜しみなく誇っている。かすかな雨音と、こよなく美しい田園風景、そしてMaria Callas。なんて贅沢なんだろう。それにしてもこの週末はやっぱり芝を刈らないと...。

メールのチェックを済ませ、返事を書き、PCをシャットダウンする前に久々のイベントチェックをしていると、今晩SouthbankのQueen Elizabeth HallでGurrumulのコンサートがあることがわかった。7時半スタート。

...目下、5時半。

一瞬の躊躇の後、今晩予定していたweekly grocery shoppingで頭が一杯の旦那に即効で連絡を入れ、数分前に後にしたロンドンのオフィスに彼を押し戻した後、ネットで残る数席からベストの二席を選んで予約を済ませた。Beautiful. I love technology. Well, sometimes. 詳細を旦那のオフィスにforwardし、振り乱れた髪のまま、適当にスマートに見える(=犬の散歩服でない)服をまとい、動物たちにディナーを与え、なにやらもの言いたげな犬に鋼の意思の一瞥を投げ飛ばして車で最寄り駅に向かった。目的意識とコミットメントが成功をもたらす、と、20数年前に受けたセミナーの講師が言ってたっけ。

そうして7時にはQueen Elizabeth Hallの前に到着し、オフィスから歩いてきた旦那と落ち合った。

「連絡くれた後youtubeで少し観たけど、なんだかとてもethnicって感じのシンガーだよね」と、少し警戒がちの旦那。

はいはい。気に入らなかったら後で文句を言ってね。But I firmly believe he's worth seeing live despite all this.



言葉の意味が二次的にしか感じられないくらいに、それだけで十分に感情的にパワフルなGurrumulの歌声は、まるで魂に直接響いてくるようだった。自分の身体の一部のように苦もなくギターを奏で、音をはずすことなくず淡々と、時にやさしく、時にせつなく歌い続けていく。

「一言も発しない無言の男」は、それでも曲の合間の観客の熱烈な拍手喝采にかすかに微笑み、「contentment」か、「happiness」か、なんであろうとも彼の文化背景なりの喜びを感じていたように私には思えた。

Geoffrey Gurrumul Yunupingu's website

A very complimentary reveiw of this concert by the Telegraph

'Bapa' by Gurrumul - ライブで泣けます
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by uk_alien | 2009-07-24 05:08 | great about it | Comments(0)

カメラ小僧のイギリス帰化人。愛機はライカMモノクローム。はたと思い立って始めた大人ピアノ初心者で目下楽しくて仕方がないピアノ練習と音楽理論の勉強をブログに綴る日々 ー London UK


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