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犬界、人間界

近所に住むジャーマンシェパードの雌犬、サファイアが我家の飼い犬ウォルターを度重なり襲撃したことは幾度かここにも書いたが、今年になって再び同じことが起こった。

雨降りの暗い朝、散歩をしようと庭のゲートからフィールドに出たとたん、オフリードのサファイアが「がるるる」と突撃。

雨で滑りやすいピッチブラックなフィールドの急斜面。ウォルターを守りようにも身動きがとれずホラー映画のような叫び声をあげた私にサファイアはたじろぎ、運よく遥かかなたでリコールしている飼い主の方へもどっていった。

「朝散歩するならリードにつないでくださいよ!」と飼い主に向かって叫び、私は怒りと恐怖で震えながら家へ戻った。

旦那は抗議のノートをフィールドを所有するチャリティー団体にccしてサファイアのオーナーに差し渡すと言い張る。「リードに繋ぐべき。再び同じことが起こったら警察に通報し、チャリティー団体にサファイアのフィールドへの出入り禁止を申し立てる!」

しかし私はもっと別の解決方法があるような気がした。犬同士の折り合い問題に人間界の仁義を持ち込んだら、問題は単に人間同士の折り合いレベルに移行するだけだ。解決にはならない。

その日の夕方、暗いレーンをとぼとぼと歩いて帰ってくると、ちょうどサファイアのオーナーのご主人が車から降りてくるのが見えた。一瞬、旦那が言うように黙ってノートをレターボックスから差し出すだけの方がよいのかもと躊躇したが、どうしても直接話をしたく、「ちょっと、お宅の犬について話ができますか?」と話しかけた。

彼は最初かなり防衛的で、時に濡れ衣を着せられている被害者のような態度を見せたりもした。きっと同じような苦情で何度か気まずい思いをしてきたに違いない。「よってたかってサファイアを悪者にするのはフェアじゃない。いい隣人関係だと思っていたのにこんな風になってしまったのは残念だ。犬をリードに繋ぐのは運動量を著しく減らしてしまうので理想的ではない。お互いかち合うのを避けるために我々が朝別の場所を散歩するしかないだろう」という。

誰かとよってたかって彼らを攻撃するつもりは全くなく、お互い庭から広いDownsに合法的なアクセスがあるのに「どこか他の場所で犬を散歩しろ」などと理不尽な強要をするつもりもない。ただし、過去にウォルターが幾度か襲撃されているのは事実だし、そのせいで私は彼を散歩するたび彼の身の安全に不安を感じざるを得ないのだ、と伝える。正式な警告のノートを差し渡すことも考えており、サファイアをリードに繋いでもらうことが解決方法だと私は考えていたが、もしそれがオプションでないとしたら...

もしよければ今夜時間をとって4人で話し合いができないだろうか?と提案してみる。なんらかの最後通牒を申し渡しているのではなく、話し合うことで解決方法を探りたいのだと伝えた。そうしてご主人の同意のもと、その夜、まだかなり防衛的になっている我家の旦那を連れて彼らの家を訪ねた。

リビングルームでサファイアの態度を観察し、オーナーの話をじっくりきいていると、利発でエネルギーのあふれたジャーマンシェパードだが、極端に臆病で、小型犬ブリードとの交流にかなり欠けている、という像が見えてきた。

<有り余るエネルギー、臆病、自信の欠落、社交性の未発達、不健康なテリトリー意識> x ウォルターの存在・態度(彼の何が影響しているのかはいまひとつわからない) → 権威の確立の必要性 → 襲撃

というような感じだろうか。

それでもサファイアは病的に神経質ではなく、身近な範囲でのコマンドへのリスポンスは非常によい。一方ウォルターは大変順応性の高い犬で、性質の悪い挑発/攻撃への彼の反応は「パック(リーダー)に守ってもらう」というもの。万一サファイアが挑発行為に出ても、ウォルターの反応で状況がさらに悪くなるというシナリオはあまり考えられない。

サファイアのオーナーはトレーニングにも熱心で「犬関係心理」を理解しようとする姿勢は私たちと同じ。賛否両論はあるにしろ、安全弁としてショックカラー(リモートコントロールで首輪を通して低レベルの電気ショックを与える)を使用しているので最悪の状況にも対処できる。一方私たちはといえば大型犬を飼った経験もあり、以前に友人夫婦のやや乱暴気味なボクサーとウォルターの「犬関係調整」に協力した経験もある。

と、いうことは我々オーナー(と犬たち)の努力次第で状況はかなり改善される可能性があるというわけだ。

サファイアのオーナー夫婦の熱心な態度に自信を得た旦那の提案で、早速週末に社交/容認性トレーニングのために二匹の犬を一緒に散歩することで同意した。

サファイアのオーナー夫婦は私たちの理解に大変感謝をしているようだった。
Commented by ゆき at 2011-01-23 12:56 x
かっこよすぎる~涙
感情や、個人への攻撃に落ちてしまわず、話し合えばなんらかの策がでてくると、冷静に相手を考え、相手の犬の行動を分析して、良い方向に持っていく。  すごすぎる~(>_<)
見習いたい!!!  毎回、怒りの感情で自制できなくなってしまい、後に猛省するという、サイクルをどうしてもぬけたいよ~
uk_alienさん、あなた日本人ではないでしょ? 笑
イギリス人よりもよりイギリス人だわ。
Commented by paprica at 2011-01-28 14:24 x
uk_alien さん、お久しぶりでーす!お元気ですか?
きちんと話をして解決策を見つけようとする姿勢、素晴らしい!なかなかできないもん。我が犬=我が子(それ以上だったりする)飼い主がほとんどでしょ。妙にディフェンシブになって、話にならないこと多いです。犬が攻撃的な態度にでるのには、色んな背景があって、サファイヤの様に複雑な例もあり。飼い主同士の歩み寄りがなければ解決できない「犬関係」ってありますもんね。
サファイヤとウォルター、ゆっくりと仲良く歩ける日が来ますように!
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by uk_alien | 2011-01-22 22:55 | animals | Comments(2)

カメラ小僧のイギリス帰化人。愛機はライカM10-P。はたと思い立って始めた大人ピアノ初心者で目下楽しくて仕方がないピアノ練習をブログに綴る日々 ー London UK


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