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Lang Lang - Beethoven Piano Concert No.1 & No.4

先日、1~2年前に予約しておいたLang langのBeethoven Piano Concerto No. 1 & 4を聴きに久しぶりにRoyal Albert Hall へ出向いた。

私はこのホールのアコースティックが大嫌いだ。「『大嫌いだ』なんて'おこがましい'ことをいうべきじゃない」と誰かに怒られそうだが、大嫌いなものは大嫌いなんだからしょうがない。これまでArenaとGalleryを除いていろいろなところに座ったが、一体どこがsweet spotなんだろうと首を傾げてしまう。あれだけどでかいホールなんだからアコースティックを楽しもうという野望自体に問題がある、と言われればそれまでなのだが、そこは「あれもこれも」entertainされたいと思ってしまう貧乏人の性。

今回は全体のバランスを楽しみたいと思ってStallsの舞台に向かって正面の席を予約してあったのだが、コミッションを受けたBeethovenにしゃあしゃあと嘘をつかれて「セカンドハンドモノ」をつかまされたといういわくつきのOverture、Namensfeierが始まって、いかに自分がこのホールを嫌いだったのかを思い知らされた。なんじゃこのmuffledな音は。

いけない、オーケストラに集中しよう

と思っても、いかんせん、「音」が楽しめない。Overtureが終わって、笑顔で拍手する旦那がちらりと私のgrumpyな様子を伺い、やれやれまたかと苦笑いをする。はいはい、ごめんね、またgrumpyで。

めずらしく、吹き飛んでないヘアスタイルとダークスーツでLang Langが登場し、Piano Concerto No.1の1st movementが始まる。げ、やっぱりだめだ。テンポは早目なのにオーケストラが妙に退屈で入り込めない。帰りにM&SでGustro Pubシリーズのチップスでもを買ってビールをかっくらおう、とさじを投げかけたところでLang Langのピアノが入った。文字通りぐっと前のめりになって引き込まれる。ホールのアコースティック云々という問題とGustro Pubチップスはさっと脇に追いやられ、「これはすごい演奏を生で聴くことになる....かな」と、期待をぐっと膨らませてくれるのはよかったのだが...

どうも変だ。技術的には天才といわれるだけのことはあるとこのど素人の耳にも十分わかるのだが、Beethoven à la 浪花節とでもいおうか、Lang Lang独特の極端に誇張された表現のせいで技術的な面ばかりが目立ち、Beethovenの端麗さを失わない克己的な美しさがそこには全く感じられない。長ったらしいcadenzaでは正直言って眠ってしまった。じっと辛抱強く待っているSalonenとPhilharmoniaがややもすればコミックじみて見える。

No.1の2nd movementはなんだかフォトショップでoversaturatedされておまけにソフトフォーカスでぼやかした「'supposedly'美しいお花畑」を見ているような感じ。美しい「はず」で、美しい「ような気がして」、「きっと」美しい「と思う」んだけど、美しさが全く感じられない。

いや、腐ってもLang Lang。3rd movementのRondoは彼の陽気な演奏が盛り上がるだろう...と気を取り直すが、なぜかpremierという印象を残さず楽しいRondoは終了した。

No.4もほぼ同じ。ただ3rd movementのオーケストラはきりっと引き締まり、コンサートを通してはじめてconcerto -協奏曲というバランスが感じられたような気がした。

考えてみれば天才AshkenazyのBeethovenも「....え?」というものだった(興味のある方はこちら)。ショパンを麗しく弾けてモーツァルトをこの世のものとも思えない軽さと美しさで弾いてベートーベンの暗雲にみなぎる怒りと清澄な光を表現できるピアニスト...はいわば一角獣を追い求めるようなものなのかもしれない。

そうだ。ピアノを習おう。私も黄色いバイエルから始めればどんなコンサートも「すごい!」と素直に楽しめるようになるに違いない。

しっかり冷え切った春の夜気にコートの襟をただし、駅のM&Sに寄ってしっかりGustro Pubシリーズのチップスを買い込む。夜中にビール、とそこまで自暴自棄な気分ではなかったので(翌日も仕事だし)Riojaをあけ、ガーリックマヨネーズにライムを混ぜたディップでチップスの暴力的な味を楽しむことにした。
by uk_alien | 2012-03-25 22:15 | music

カメラ小僧のイギリス帰化人。愛機はライカM10-P。はたと思い立って始めた大人ピアノ初心者で目下楽しくて仕方がないピアノ練習をブログに綴る日々 ー London UK


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