テンポ・ルバートの長い道のり - Liszt Romance

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Wikipediaによると、テンポ・ルバートとは下記の通り。
テンポ・ルバート: tempo rubato)は、訳せば「盗まれた時間」という意味であり、本来的には音符音価の一部を奪い、他の音符に付与することを意味していた。したがって全体のテンポは変化しなかった。19世紀以降ではこの概念は退化して、柔軟にテンポを変えるという意味で用いられるようにもなった。テンポ・ルバートの記譜された実例は14世紀に遡る。テュルクの『クラヴィーア教本』(1789)では「最も普通には、先取または遅延によって音符をずらすことをいう」と記述されているが、実際には古典派の時代を通してテンポ・ルバートの概念は衰退し、単にテンポを厳格にしすぎない程度の意味になっていた。
テンポ・ルバートが再び脚光をあびるのはショパンの楽曲においてである。テンポ・ルバートはマズルカバラードスケルツォワルツノクターン即興曲といった、叙情的な作品の演奏において多く用いられる。普通は、フレーズの最初と最後を遅めに、また、強調したい音を長めに演奏するためにその前後を遅めに演奏し、それ以外の場所を速めに演奏する。この場合、完全にテンポが自由というよりは、基本のテンポを設定しておいて、それを基準に遅め、速めにずらす、という手法を採るのが一般的である。なお、ショパンの場合、このようなテンポの変化は楽譜に書かれていないため、演奏者の解釈に任されている。またショパンは右手のテンポを揺らしても、左手のテンポは常に一定であるべきであると述べている。つまり時間を盗むという旧来の用法に従っていた。
で、これを中年ピアノ3年生(私)に説明して理解させてピアノで弾かせる、というのはピアノ教師にとっては至難の技に違いない。しかし生徒側にしてみたら「盆踊りの基本ステップもマスターしたことだし、ブラックスワンでも踊ってみようか」といきなり言われるようなもの。

二ヶ月くらい前に久しぶりに先生の前でこのロマンスを通しで弾いた。「うーん、よく頑張ってきたね。でもテンポがガチャガチャ。基本テンポが感じられない。ルバートで逸れてもこの基本テンポに戻らなければ曲としてまとまりがつかず、聞き手を困惑させてしまうのだ」と言い渡され、再びメトロノームでかっちり練習をする日々が続いた。70bpmを身体に埋め込み再度先生の前で通しで弾くと、

「かっちりしすぎ。ロマン派音楽はクラシック派に比べると遥かに自由な解釈が許されるのだから、効果的なテンポの柔軟性を考えてどこでそれを活かすのかをプランし、それ以外のところではしっかり基本テンポを感じらせるようにすること。所謂『どこで観客を泣かせるのか』を意図的にプランして臨むように」

と言い渡された。

どーん、と落ち込む。

「初心者なんだからそんなことが出来るわけがない。難しい曲を長期間練習して嫌になってしまうより語学学習のように同じレベルの違う曲を短い周期で仕上げていくことでスパイラル状に上達するというやり方のほうが効果的なんじゃないか」等々、悶々とすると同時に自棄っぱちになる。「ピアノなんか上手にならないし、時間の無駄だ、やめてやる!」と旦那に息巻いたその夜にしっかりピアノの前に座って練習をする。

他の人のピアノ演奏を聞いてもこのルバートの勘が掴めない。聞いたすぐ後に形だけ真似をすればなんとなくロマンチックになるけれど、どうも違う。何をしようとしているのかが自分の中から感じられない。最初のEを弾いて耳にするだけでリストのコントアーの効いたボブ顔が頭に浮かび「出来ない、わからない」というネガティブな気分になる。

と、この演奏が耳に留まった。


Violaの音がとてもロマンチックだ。そう、この弦楽器の感じ。

鍵盤上の低いレジスターでチェロをイメージしてメロディーを弾いてみた。普段のレジスターと異なるのでピアノの音がすんなり耳に入ってくる。

歌ってみた。ベルカント・テナー、ベニスのゴンドラを漕ぐおじさん、チャリングクロス駅でゴッドファーザーのテーマを繰り返し演奏するフィドラー、シャンソン歌手のおばさん、彼らだったらこのロマンスをどんな風に歌うだろうと想像しなが低いレジスターで歌う。最初は冗談半分で誇張していたのだけれど、なんとなくどうしたいのかが見えてくるような気がしたので通しの演奏を録画してみた。



スピードが落ち、後半のオクターブとアルペジオで再度緊張してしまっているけれど、なんとなく先生が言っている方向へどうしたら前進できるのかが感じられるようになった(気がする)。今日はこの後半部分でどう表現できるのか、ちょっと考えてみようと思っている。先は長い。

さて、練習曲のCzerny Op.139 No.70。先週、やっと(やっと、やっと、やっと)先生の「ま、いいとしましょう」のお達しが下った。これも長い旅路だった。「緊張して早く弾ける」という状態から、手首の「振り付け練習」を経て、やっとリラックスして早く弾くということがどういうことかがわかるようになってきた。(意識していないとすぐ緊張状態に戻ってしまうのだけど。)最終的にはリラックス+スピード演奏(130bpm)をゴールにし、正確なコントロールとアーティキュレーションは犠牲になっている。全部できればいいのだろうけれど、今の段階ではどうしても出来なかった。


で、先週から始めた練習曲はこのStamaty Op.37 No.1↓。同じ音の繰り返しの部分の運指を覚えること、三種類のスラーのアーティキュレーション(出来てない〜涙)、両手のコーディネーションが学習項目。



頑張ります。

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by uk_alien | 2018-06-06 21:28 | Videos ピアノ練習動画 | Comments(0)

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