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調律師のストレス

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半年ぶりにピアノの調律をしてもらった。

お世話になっている若い調律師さんはもの静かで真面目〜に仕事をしてくれる。

前回の記事でも触れたけれど、彼が有名所のコンサートやレコーディングのピアノ調整・調律を手がけていることを知り、さして近所でもない我家まで未だに来てくれるのは単に私がラッキーだっただけだろうかと不思議に思っていたので今回尋ねてみた。

するといつもの真摯で穏やかな表情で「精神衛生上、半分は一般のクライアントの仕事を入れるようにしているんです。同業のテクニシャンでも神経が太い人は何があっても平気でいられるようですが、僕は真剣になりすぎる質で。例えば…世界的に有名なロシアの若手ピアニストとコンサートを前にホールで2人きりでいるとして、しかも彼の神経がいつになく異様に昂っていてピアノの不具合をああだこうだと指摘してくる、そういう状況って結構きついですよね。僕はピアノ自体には何の落ち度もないってわかっているから」と説明してくれる。

最後の一言、クールだなぁ。

ピアノの調整が終わり、「一つ長すぎる鍵盤がありました。これ。ペダルを踏むと音抜けになる可能性があるので直しておきました。このメーカーは殆どが手作りだからこういう不思議な不具合が生じることもあるんです」

感謝。

「あとは全く問題ないと思いますが、試しに弾いてみますか?」

彼がこうしていつも礼儀正しく聞いてくれるのは本当にありがたい。おごりなく真摯だ。しかし、トリフォノフ相手に自分の調整に不備はないと自信を持てる彼の仕事を私が「咲いた咲いた」を弾いてチェックするのは、グレープジュースしか飲んだことない人間が三ツ星レストランのソムリエを前にワインのチェックをするようなもの。

いつも通り礼儀正しく辞退し、彼の精神的ウェルフェアに貢献した。

そんなこんなで再び調律されて私の小さなピアノはちんまり幸せに鎮座している。

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by uk_alien | 2019-10-22 17:14 | Piano ピアノ | Comments(0)

カメラ小僧のイギリス帰化人。愛機はライカM10-P。はたと思い立って始めた大人ピアノ初心者で目下楽しくて仕方がないピアノ練習をブログに綴る日々 ー London UK


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