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いっそ、マイクロチップを

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昨夜、IDカードの法案が議会で可決された。

冗談じゃない。人権に反すると思うからではない。私は日本の戸籍制度でさんざん嫌な思いをしてきたから、いいのか悪いのか、ある意味で国家にID管理されることに慣れている。私が反対する理由は、イギリス政府が納税者に莫大な費用がかかる新ID制度を導入した上で(導入自体はアホでもお金をかければ出来る)、それを機能的に維持し、活用していけるとは思えないからだ。

内務大臣(っちゅーのかい?Home Secretary)のチャールズ・クラークいわく、竹級のIDカードは30ポンド、パスポートとリンクされた松級のIDカードは93ポンド。パスポートを申請・延長するものは後者取得が義務になる。しかしながら、London School of Economics (LSE)が発表したレポートによると、IDカードは実質一人頭300ポンドのコストがかかるという。

イギリスは国の保護にあやかってる人の数がばかにならないほど多い。慈悲深いブレアーの労働党政府が無職者、身体・心の都合で職にはもう就けない人たち、ティーンで妊娠して子供を生んだシングル・マザー達などなどをそれはそれは手厚く保護してきたため、ウソついて保護を受けたくなるか、もしくは最初はウソでなくても一旦保護を受けたらやめらめまへん状態になってるようだ。さて、この人たちのIDカード代は誰が払うのだろう?彼らの保護金の中から政府が引き落とすだろうか?ありえない。そう、あなたや私、普通に働く納税者だ。

さらに、難民の分はどうだろう?難民と英人大学生を比較するのはちょっと変かもしれないが、イギリスは以前はほとんどの場合タダか、タダ同然だった高等教育が今は文系大学学士コースでも年数千ポンドと跳ね上がったため、多くの若者は教育ローンを利用せざるをえない状況になっている。彼らが大学を卒業し、フレッシュな社会人となって年収1万二千~一万4千ポンドを稼ぐときには既に8千ポンド~1万ポンドの借金を抱えていることになる。当然この借金返済は義務。無利子なんて甘くはないよ~。つい先月も膨れ上がった教育ローンの重圧に耐え切れなくなった26歳の女性が首吊り自殺している。そうした一方で、納税者は英国住民となる難民それぞれに、一人頭300ポンドのIDカードをタダで提供するのだろうか?恐らくそうなるだろう。そんな借金を難民に課すなんて、非人道的だからだ。なんて慈悲深い国だろう。

また、ブレアーいわく、IDカードはID詐欺をくいとめるという。どうやって?いつこのIDカードはチェックされるの?お金を引き落とすのに銀行でカードをスキャンしてそのデータが国家のデータベースでチェックされる?銀行の支店がそんなスキャナーを導入するだろうか?いや、そうしたチェックは空港だけの話で、普通の銀行やお店、オンラインショッピングなんかはIDカードのコピーか、番号入力だけだ...なんてことだったら運転免許やパスポート、クレジットカードを使った身分証明と全くかわらないではないか。

テロの脅威はかつてないものと政府は主張する。しかし、7月のロンドンの爆弾テロはイギリス人によって実行された。外人じゃない。もし当時IDカードが導入されていたとしても、それがこのテロを食い止めたとは思えない。

性犯罪者が教育関係の職に紛れ込むのを防ぐため、データベースをチェックするシステムが機械としてではなく、機械を使う人達のアドミンシステムとして機能していなかったことが問題になったのはまだ記憶に新しい。人手不足の警察は、75ポンド以下の万引きで僕達を煩わせないで、というレターを地域の店に発行する始末、NHSは信用できない、電車はまともに動かない。

頼むから。IDカードにお多大な納税者の汗と涙の結晶をつぎ込む前に、国家はそうしたプロジェクトを管理・活用し続けていく能力があるのだということを納税者に証明してほしい。もし納得できるのであれば、IDカードだろがなんだろうが、いっそのこと家の猫に埋め込まれてるようなマイクロチップでも喜んで携帯しよう。
by uk_alien | 2006-02-14 21:00 | venting

カメラ小僧のイギリス帰化人。愛機はライカMモノクローム。はたと思い立って始めた大人ピアノ初心者で目下楽しくて仕方がないピアノ練習と音楽理論の勉強をブログに綴る日々 ー London UK


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