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Upper Crust

先日のLost in Austen以来、すっかりコスチュームドラマにはまり、そんなさなか友人がJane EyreのDVDを貸してくれた。

このCharlotte BrontëのJane Eyreは私が初めて読み通した英語の本。ずっと前、イギリスに1年間滞在したとき、ビザの延長のために通い始めた語学学校から借りて読んだ。だからちょっと思い入れがある...と思ったのに全然内容は覚えていなかった。(おかげでDVDがとても新鮮に見れたのだけれど。)

Janeを演じているRuth Wilsonがとても上手。Darcyを演じたElliot Cowanもそうだったが、内に秘めた感情を微妙に演じている。

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たかがコスチュームドラマ、されどコスチュームドラマ。こうしたドラマを見ることで、普段疎遠な、しかし確実に現代に存在するイギリスの階級社会へ直感的認識は嫌がおうにも深まる。昔ほど莫大なスケールな相続はないのかもしれないけれど、いまだそうした'inheritance'のおかげで日銭を稼ぐ必要が全くない生まれながらにして金持ちで有閑な連中が存在する一方、このつつましいセミのモーゲッジをひたすらせっせと払い続けている私達。ま、考え始めたらきりがない。屋根がある分よしとしよう。それに、精神世界が豊かであれば多少の金銭の欠落は補えるというもの。

先日仕事でこちらから出した手紙に記載された名前の敬称、Mrを全てSirに敢えて書き換えて返信してきた人がいた。最初は「どっちでもいいじゃん。書き直さなきゃ気がすまないって言うのも哀しいよね」と思ったが、興味をそそられて書類を見ると、彼の父親の職業はBaronetとある。なんじゃこりゃ、と思って辞書を引くと、'a member of the lowest hereditary titled British order, with the status of a commoner but able to use the prefix "Sir"'(英国の世襲可能な地位の序列で一番下のランク、平民身分だが名前の前にサーをつけられる)とある。

「なんだ、貴族でもないくせに、更にかっこ悪いじゃん」と思いながら奥さんの父親の職業を見てみるとLandlord(地主)。上流階級の一番下にぎりぎりでぶらさがっている層というわけか。妙に納得して彼らの婚姻の地を見るとSt Margaret Church of Westminsterとある(Westminster Abbyの隣にあるやつ)。やっぱり、ほら、そこは対面上プロパーに。

しかしながら、書類に目を通すうちに、なんだか最初の「SirでもMrでもどっちでもいいじゃん」という感覚から、引き継いだ称号への彼の誇りと尊敬、そしてそれを正式に維持することへの一貫した態度が肯定的に受け入れられるような気がしてきた。家に返って旦那に話すと、「世襲性の地位で一番低かろうが、貴族じゃなかろうが、Baronetっていったら、真の上級クラスだよ」と真顔で言う。

僅かながらに畏敬をこめた彼のその言い方と反応から、この国の教育や歴史知識を共有しない私では皮膚感覚的には到底感じえないものを少し感じられたような気がした。
by uk_alien | 2008-11-10 04:14 | concept

カメラ小僧のイギリス帰化人。愛機はライカMモノクローム。はたと思い立って始めた大人ピアノ初心者で目下楽しくて仕方がないピアノ練習と音楽理論の勉強をブログに綴る日々 ー London UK


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