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外の国から来た私

私は職場で泣く女が嫌いだ。職場で泣く男を見たことがないし、男だろうと女だろうと、プロフェッショナルじゃない。泣くほどつらいなら家で泣け、と思うほうだ。

しかしながら。今日はじめて職場で泣いてしまった。

横柄な感じの典型的非都市居住者型白人初老男性の電話をとり、最後に彼の名前の綴りを確認するのに「XXXXと綴ればよろしいでしょうか?」ときいたら、「Great Britain以外の国から来た連中は皆そう綴るけど、僕の名前は大抵のイギリス人が正しく綴るように、X○XXだ」という反応が返ってきた。「おお、声に出して言うかいそういうことを」と驚きつつ私のファーストネームを丁寧に綴って伝える。それを煙たげにメモるこの男に「担当に折り返し電話させます」と告げ、電話を切った。

黙っていようと思ったが、あまり内に閉じ込めるのもよくないと思い、返ってきた担当の同僚に何が起こったかを笑いながら伝えているうちに、自分がどんなに嫌な思いをしているかが浮き彫りになってきた。

「おお、これはいかん」とさり気なく化粧室に立ったが、デスクに戻ると同僚が「この男、あたなにすこぶる嫌な思いをさせたんじゃない?」とはっきり切り出してきた。周りの人たちもいることだし、何か差し障りのない答えをして穏便に仕事に戻ろう…と思ったのだが言葉が出てこず、その代わりどっと涙がこぼれ出てしまった。

普段はこんなことはさらっと交わすことが出来る。でも、今はとてもじゃないけどそういう体調/精神状態じゃない。12月以降ものすごく忙しく、しかもシニアのスタッフが長期休暇と産休で二名欠けたためトレーニングを受けていない仕事や難しい計算がどんどん回ってきていた。間違えないように、それでも全速力で何とか締め切りを守っている毎日だった。

普段は典型的なEssexガールの同僚がホールに一緒に出てきてくれて私の気を静めてくれた。表に出て少し散歩をし、新鮮な冷たい空気を吸ってデスクにもどると、上司が「例の男に折り返し電話をして君に対する彼の発言は容認できないことを明確に指摘したからね」という。彼は電話上で繰り返し謝罪したそうだ。

おそらく彼にしてみればさらっと口から出た何の意味もないことだったのだろう。今頃、「まったく近頃はPCのおかげで何もいえやしない」と舌打ちしているのかもしれない。

私は彼の個人的な立場(外人や非伝統的文化に抑圧されるネイティブイギリス人という立場)には心から同情する。しかし、ブロック塀に熟れたトマトを無造作に投げつけるような思いやりのない発言で他人を傷つけような人間はPCにさるぐつわされて黙ってもらっていた方がよほど世の中のためになると私は思うし、逆にもしかしたら、外人の私が彼の発言をどう受けとったのかを第三者を通して冷静にきいたことで彼のframe of reference - 関係枠が少し変わるのかもしれない。

職場で私の一番insecureな弱みをさらけ出してしまった。ちっ。

帰る前にチームに、「少し気詰まりな思いをさせてしまってごめんなさい。チームの皆の心遣いと親切に感謝します。よい週末を」とメールをうつと、同僚のEssex Girlが「Oh, uk_alien! Go home, get a nice bottle of wine!」と声を上げる。抗生剤飲んでるからアルコールは飲みたいけど今飲めないんだというと、即座に「Get LOTS OF chocolates」との返答。

アドバイスは即座に実行された。
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by uk_alien | 2011-01-29 06:05 | work | Comments(5)

Juan Diego Flórez

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An absolutely fantastic night. Read reveiw at The Gardian.

Listen to his famouns 9 high C's - incredible.
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by uk_alien | 2011-01-23 01:00 | music | Comments(0)

犬界、人間界

近所に住むジャーマンシェパードの雌犬、サファイアが我家の飼い犬ウォルターを度重なり襲撃したことは幾度かここにも書いたが、今年になって再び同じことが起こった。

雨降りの暗い朝、散歩をしようと庭のゲートからフィールドに出たとたん、オフリードのサファイアが「がるるる」と突撃。

雨で滑りやすいピッチブラックなフィールドの急斜面。ウォルターを守りようにも身動きがとれずホラー映画のような叫び声をあげた私にサファイアはたじろぎ、運よく遥かかなたでリコールしている飼い主の方へもどっていった。

「朝散歩するならリードにつないでくださいよ!」と飼い主に向かって叫び、私は怒りと恐怖で震えながら家へ戻った。

旦那は抗議のノートをフィールドを所有するチャリティー団体にccしてサファイアのオーナーに差し渡すと言い張る。「リードに繋ぐべき。再び同じことが起こったら警察に通報し、チャリティー団体にサファイアのフィールドへの出入り禁止を申し立てる!」

しかし私はもっと別の解決方法があるような気がした。犬同士の折り合い問題に人間界の仁義を持ち込んだら、問題は単に人間同士の折り合いレベルに移行するだけだ。解決にはならない。

その日の夕方、暗いレーンをとぼとぼと歩いて帰ってくると、ちょうどサファイアのオーナーのご主人が車から降りてくるのが見えた。一瞬、旦那が言うように黙ってノートをレターボックスから差し出すだけの方がよいのかもと躊躇したが、どうしても直接話をしたく、「ちょっと、お宅の犬について話ができますか?」と話しかけた。

彼は最初かなり防衛的で、時に濡れ衣を着せられている被害者のような態度を見せたりもした。きっと同じような苦情で何度か気まずい思いをしてきたに違いない。「よってたかってサファイアを悪者にするのはフェアじゃない。いい隣人関係だと思っていたのにこんな風になってしまったのは残念だ。犬をリードに繋ぐのは運動量を著しく減らしてしまうので理想的ではない。お互いかち合うのを避けるために我々が朝別の場所を散歩するしかないだろう」という。

誰かとよってたかって彼らを攻撃するつもりは全くなく、お互い庭から広いDownsに合法的なアクセスがあるのに「どこか他の場所で犬を散歩しろ」などと理不尽な強要をするつもりもない。ただし、過去にウォルターが幾度か襲撃されているのは事実だし、そのせいで私は彼を散歩するたび彼の身の安全に不安を感じざるを得ないのだ、と伝える。正式な警告のノートを差し渡すことも考えており、サファイアをリードに繋いでもらうことが解決方法だと私は考えていたが、もしそれがオプションでないとしたら...

もしよければ今夜時間をとって4人で話し合いができないだろうか?と提案してみる。なんらかの最後通牒を申し渡しているのではなく、話し合うことで解決方法を探りたいのだと伝えた。そうしてご主人の同意のもと、その夜、まだかなり防衛的になっている我家の旦那を連れて彼らの家を訪ねた。

リビングルームでサファイアの態度を観察し、オーナーの話をじっくりきいていると、利発でエネルギーのあふれたジャーマンシェパードだが、極端に臆病で、小型犬ブリードとの交流にかなり欠けている、という像が見えてきた。

<有り余るエネルギー、臆病、自信の欠落、社交性の未発達、不健康なテリトリー意識> x ウォルターの存在・態度(彼の何が影響しているのかはいまひとつわからない) → 権威の確立の必要性 → 襲撃

というような感じだろうか。

それでもサファイアは病的に神経質ではなく、身近な範囲でのコマンドへのリスポンスは非常によい。一方ウォルターは大変順応性の高い犬で、性質の悪い挑発/攻撃への彼の反応は「パック(リーダー)に守ってもらう」というもの。万一サファイアが挑発行為に出ても、ウォルターの反応で状況がさらに悪くなるというシナリオはあまり考えられない。

サファイアのオーナーはトレーニングにも熱心で「犬関係心理」を理解しようとする姿勢は私たちと同じ。賛否両論はあるにしろ、安全弁としてショックカラー(リモートコントロールで首輪を通して低レベルの電気ショックを与える)を使用しているので最悪の状況にも対処できる。一方私たちはといえば大型犬を飼った経験もあり、以前に友人夫婦のやや乱暴気味なボクサーとウォルターの「犬関係調整」に協力した経験もある。

と、いうことは我々オーナー(と犬たち)の努力次第で状況はかなり改善される可能性があるというわけだ。

サファイアのオーナー夫婦の熱心な態度に自信を得た旦那の提案で、早速週末に社交/容認性トレーニングのために二匹の犬を一緒に散歩することで同意した。

サファイアのオーナー夫婦は私たちの理解に大変感謝をしているようだった。
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by uk_alien | 2011-01-22 22:55 | animals | Comments(2)

London, UK


by uk_alien
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