目には目を、悪には悪を

ブログをネット公開する、ということはいろんな意味で多少の危険が伴うものだ。義理の兄の一件でやな思いをしたこともあって、私の英語版ブログは同じサーバーに属する人しかコメントできないようにしてある。

ところがある日、私のガーデニングに関するなんとはない記事に対し下記のコメントが書かれた。

'sweet jesus.. is that the most exciting thing you got going on in your life.. waiting for spring!!! get a life and a gardener…!!! '
(ありゃまあ、これがアンタにとって一番の楽しみなワケ?春を待ってるって?庭師雇って、もっと人生楽しんだら?)

ま、確かにヒマ人といわれればそれまでだが。'sweet jesus'に対抗するにはやっぱり出だしは'spicy buddha'かなあ...、なんて考える一方、この浅い内容からすると特に私だけに対する個人攻撃ではなさそうなので他のメンバーのサイトを見て回った。すると、このchapsと名乗る同じ人物/グループからの攻撃的なコメントがあちらこちらにある、ある。

相手のIPアドレスを登録することで特定の人のコメントを不可にすることは可能だから、落ち着くまではそれでよかろうと思っていたところ、The Reportと名乗る「そっちの道」に明るい人物/グループがイニシアチブをとった。なんと、このchapsと名乗る不埒なやからのブログサイトをハッキングしたのだ。下記の写真はchapsが作っていたブログサイト(before)とハッキングされた後の画面(after)。

BEFORE: ハッキング前。人のサイトをけなすコメントを書いて回った割には本人のも大したことない内容。
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AFTER: The Reportにハッキングされた後のchapsのブログサイト。このページから移動できなくされている。ページタイトルは'Fucktard'で出てくる。芸が細かい。
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凄い。ブログのセキュリティーなんてたいしたことないとはいえ、こういうハッキングを目の当たりにすると、怖い。ただ、ねずみ小僧や必殺仕掛け人じゃないけど、ダークフォースが悪者退治に使われると、えもしれぬすっきり感があるは否めない。私を含め、ブログコミュニティーの反応はご想像通り、The Reportへの絶賛。

最後に、翌朝ハッキングに気がついた当の不埒モノがThe Reportに送ったコメント:

firstly.. good on you “the report”… came on this morning and being hacked was a new a wonderful experiance…!!! made me laugh till i fell of my chair…!! secondly.. it was as the page says GAG’s..!!! all we wanted to do was build up a bit of banter between rival blogs.. just for laughs…. i can understand that you guys and gals may have taken offence to some of my teams more tastless gags.. but they were just gags…!! all that we hoped to achieve was a bit of banter going on between us and ther rest of you…. must have overstepped that mark and that was never the intention…..!! anyway. such is life.. was all good fun… lastly,, again.. well done “the report” you made my morning!!!!!
(まず最初に...よくやった、The Report。朝ブログあけてハッキングされたのを目の当たりにするなんざ、新鮮かつすばらしい経験!!!椅子から転げ落ちるまで笑ったよ!!次に、ブログのタイトルにも書いてあるけど、あれはギャグだったわけ!!!俺らはライバルのブロガーとの間にひと悶着起こしたかっただけ、面白半分でさ。俺らのメンバーの能のないギャグでむっとした人がいたってのはわかるけど...でもただのギャグだったワケよ!!ま、一線越えちゃったかもしれないけど俺らにそのつもりはなかったの!!ま、そんなわけで、結局面白かったけどね。最後にも一度、よくやったよ、the Report。サイコーの朝だったよ!!!!!)

やれやれ。ま、こんなこともあるということで。
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# by uk_alien | 2006-02-10 23:33 | great about it | Comments(6)

イギリス帰化について

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私の住んでいるエリアはロンドン近郊のセミ・カントリーサイド。マチュアな典型的白人地域だ。
勿論主流は保守党。私も個人的に保守党を支持している。しかし、私には選挙権はない。

英国に帰化しないと選挙権はもらえない。しかし、日本は重国籍を認めていないから英国帰化=日本の国籍を放棄することになる。勿論日本側には黙ったままで、ばれるまで二重国籍を保つ...という手もあるようだがその点は不明。

在英、外人妻という同じ境遇の日本人の友人は、「違いはパスポートコントロールでどっちの列に並ぶかと、選挙権だけでしょう?ベネフィットだって同じだし。これから何があるかわかんないんだから、日本国籍はとっておいたほうがいいわよ」という。確かに、今更イギリスの公務員になりたいわけじゃなし、利点は選挙権とパスポートコントロールで並ばなくていいことだけ。「脳梗塞や頭打ったりしてスピーチセラピーが必要になったときにNHSが日本人のスピーチセラピストを提供する予算があるとは思えないでしょう?」....ごもっとも。

チェコ・スロバキアからイギリスに帰化した義理ママ、そして韓国からイギリスに帰化した親友は口をそろえて「え、まだ手続きしてないの?何で?」

日本国籍を放棄しても相続関係では特に問題はないようだ。私の場合、父は既に他界、83歳の母はとある事情でこの先4年半に渡る、お国への多大な借金返済のまっ最中。この4年半以内に、しかも私の日本のパスポートがきれた後に母に死なれるとちょっと面倒くさいかもしれない。ただ、弁護士など代理人を立てると、「頼んだ私が私である」証明がことさらしちめんどくさくなるようだが、もし通常の負の財産のようにこの返済義務も放棄できるものであれば、古いパスポートと英国のパスポートをもって一時帰国して自分で処理すればなんとかなりそうだ。(お母さん、あと5年は長生きしようね。)

私たちには子供がいないから子供の将来の選択肢を気に病む必要はない。旦那はイギリス国内に関することの専門職だから国外への移住はまずありえない。やはり日本国籍放棄の不都合な点は、旦那と死別・離婚という事態になった際に私が逆外人となって日本に住む/就職するというチョイスを選択した場合だろう。あと、友人が触れたスピーチセラピーも妙に心にひっかかる。運良く脳梗塞という事態に陥らなくても、ぼけと子供がえりは誰にでも訪れる。旦那に先立たれた挙句ぼけてきたら、日本語ばっかり口走るようになって、英人のケアラーに「わけのわかんない中国人」と呼ばれるんだろうな、とか。(英語が達者だったチェコ人の義理祖母は、痴呆が進行するにつれチェコ語しか口走らなくなった。)

ところで、英国で帰化申請をするのにはお金がかかる。結構高い。そして昨年法律が変わり、英語力、およびイギリスに関する知識を証明するためにテストを受けパスする義務が加わった。必要とされる「英語力」のレベルは心配するに及ばないが、運転免許の筆記の教科書みたいなイギリスに関する知識の指定テキストブックを購入、しっかり勉強して、「イギリスで宝くじが購入できる最低年齢はいくつか」等のQ&Aを所定のコンピューター・センターで行わなければならないのはうざい。非常にうざい。そしてこの試験にもお金がかかる。

ここまでして選挙権とパスポートコントロールの列にこだわるか(笑)。それは冗談として、「外人」か「帰化人」か。決断する必要のある/必要を感じた人にとっては真剣な選択だ。

※ ちなみに日本国籍を放棄しても日本定住を条件として、再取得は不可能ではないそうだ。
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# by uk_alien | 2006-02-09 03:11 | going native | Comments(11)

春の準備

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イングリッシュ・ガーデンは本当に美しい。

といってもロックガーデンやコニファーを中心とした庭や、最近では磨いた御影石を使ったり、モダンなメタル素材を織り込んだりといろいろなスタイルが出てきてるから、何が本当のイギリスの庭かというのは難しい。

私が好きなのは、花の咲く木や潅木をフレームに、バラやラベンダー、多年草を駆使したモダン系コテッジ・ガーデンだ。球根を交えれば、3月~4月から11月くらいまで庭が楽しめる。常緑樹を避ければ(落ち葉掃除は大変だが)冬は完璧に冬眠状態になるから、剪定や多年草の移動も楽だ。

先週末は風もなく暖かかったので、昨年購入してまだ植えてない木を3本植えた。栗(実がならないタイプ)とインディアンビーンとクサギ。インディアンビーンは好みではないが高い位置で扇状に接ぎ木してあるので隣家との境の目隠し用にぴったり。でも実をいうとまだ、植樹を待っている木が6本残っている。来週末天気がいいことを祈ろう。

イギリスは4月中旬のイースターホリデーを境に本格的なガーデニングシーズンに突入する。気候もすっかりよくなって、日も長くなった最初の連休だからだろう。

そのときを心から夢見て、今日も暗く寒い曇り空のもとバラとクレマチスの剪定に励もう。
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# by uk_alien | 2006-02-06 19:20 | garden | Comments(13)

義兄ちゃん、それはまずいんでないかい?

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私は英語でもブログを書いている。

ある義理ママと電話で話していると、彼女は言った。「そういえばXX(義理兄その一)もOOも(義理兄その二)あなたのブログ読んでるっていってたわ。△△(義理兄その三)もアドレス教えてくれっていってたわ」

... え?

旦那が私に無断でメールで義理ママにリンクを送ったらしい。母親が私の写真をみて楽しむと思って全く考えなしにしたことだろう。全く他意のなかったことは痛いほどよくわかる。で、メールとかインターネットなどにやっとこついてきている義理ママ(この点は非常に尊敬に値する)は、ブログとは一体なんなのか、「なぜ個人的なことを全世界に公開するのか」皆目検討もつかず、「全世界に公開している」のだからブログのリンクを他の息子に渡すのも勿論問題ないと考える。これはもう責めようがない。

一ヶ月近くも読んでるんだったら、何でコメントしてくれなかったのだろう?読んでるよ~、とか。美味しそうだね~とか。だまーって眺めてたわけ?ちょっと気味悪く思えた。もともとは旦那の不注意とはいえ、彼らに対し少し頭にもきた。

しばらく更新をやめた。頻繁に訪ねて来てくれる人のサイトへ行って、アップデートしていない事情をコメントした。なにが起きたかを説明する中で、「うちのスカ旦那がね..」「そりゃあウェブ上で公開してるけど、義理の家族が私のだと思って黙って読んでるとは思ってなかったわ」という表現をした。憤慨は表したが、特別誰かを責める書き方ではなかったと思う。

「もう気にしないようにしよう。今までの投稿だって全然害のないくだらない内容なんだから」と、気持ちを入れ替えた矢先、うちの旦那からメールが届いた。内容は...

「なんかストーキングされてる感じ...元凶として誤るよ」という旦那のコメントの後に添付されたメールは義理の兄のもの。「やあ、興味深いと思わないか?」の一行の後に私の常連さんのウェブに残したコメントのコピーがぺったり。

え?私のブログの、クリックしなければみれないコメントを読んで(ま、ここまでは普通)、そこに投稿している人の名前をわざわざクリックしてその人のブログを読んで(ちょっと、ヒマ人)、しかもその人のブログのコメント欄も投稿ごとに一つ一つ開いて(すごくヒマ人)私のハンドリングネームを認識しつつ読んでたわけだ。そしてコメントの中で「スカ旦那」の表現をみつけて、ひと悶着起こしてやろうとわざわざ内容をコピー&ペーストして旦那に送りつけたと...。ここまでくると本当に気味が悪い。

いやはや怒った怒った。前から根性の曲がったやつだとはきいていたが、ふざけるにもほどがある。これは旦那と相談するより私個人として反応したいと思った。怒りを抑えてよーく考えて、やはりあっさり彼の愚行を指摘するのが最適だという結論に達した。メールに記載されていた義理兄のアドレス宛てに、旦那へCCして短いメールを書いた。「こんにちはXX。ええ、興味深いですよね、だってこれは他人のウェブサイトに残した私のコメントで、それがこんな形で転送されるだろうとはまさか思いもよりませんでしたから。ところで、誕生日のカードと本をありがとうございました。お心遣いをどうも。敬具」

それきり返事はこない。
サイトはシャットダウンしようと思ったが、あまりにもばからしく、しばらくそのまま続行しようと思っている。でも私の他のサイトへのリンクはすべてはずした。彼ならこのサイトを翻訳機にかけることまでするかもしれない。ちなみに彼の職業は人々に必要とされ尊敬される、超専門職。

やれやれ。
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# by uk_alien | 2006-02-04 03:18 | family | Comments(4)

Memoirs of a Geisha

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シングルマムの友人の家にいりびたっていたら、彼女が「Memoirs of a Geisha、見に行こう、今夜!」と一言。お国の韓国のギーセン(どうやら芸者の茶屋と同じようなものらしい)とどうちがうのか、どうしてもみてみたかったのだそうだ。一人で行きたくないし、下の子をおいて上の子と見に行くというわけにはいかない。で、私に白羽の矢。

いやことがあってくさくさしていたので即座に同意。急いで夕飯かっくらって子供達に明るく見送られ家を出た。(大きい方は17歳だから2時間内の外出は合法ね。)道中、「これは純日本風じゃないんだからね」と念をおす。

感想は...日本でも中国でも韓国でもない不思議な美しいアジアの御伽噺が英語で語られてるという感じ、だろうか。ストーリーラインと映像が織り成す美学も東洋の感覚ではない。ただ、そういうものを作りたかったという意図は明らかだし、原作で描かれている、西洋のフィルターを通した幻想的で美しい日本美を映像化した、とすれば大成功だ。本を読んで受ける色やスケッチの印象がそのまま目前に映像となって映し出される(芸者自体の描写を除けばだが)。もう、それでよしという感はある。ストーリーは虚弱だ。ハリウッド映画なんだからしょうがない。それにもともと原作自体が、もっとシンプルなThe Girl who played Goなんかに比べても脆弱で心に迫りくるものはない。芸者に関しては髪型や化粧、振る舞いも日本風ではないので、日本人にしてみれば芸者を見ているという感じはあまりないが、あれだけ美しい女優をそろえれば「目の保養」としておつりがくる。

友人と、Mameha役のMichelle Yeohはクール、Hatsumomo役のGong Liはevilにセクシー、渡辺謙はデリシャス、という点で意見が一致。個人的にはAuntie役のTsai Chinははまり役、桃井かおりは映像的には合ってるがほとんど何をいってるのかわからなかった。

「Nobu役の役者が英語も演技も上手くてよかったよね、日本語の発音もすごく上手だったけど、なに人だろう?」「Pumpkin役は日本人っぽいけどよく演じてるよね、なに人かな?」(友人は「あの子は絶対に中国人よ、中国人顔だもの」と確信)等々、映画の後もお茶で話がもりあがったガールズナイト。後で彼らがYakusho KojiとKudo Yukiと知って自分のズレズレ加減に愕然とした。

ちなみにイギリス英語読みはメモアーオブア「ギーシャ」となるようだが、人によって「ガイシャ」というのだろうか。イーザーeither、アイザーeitherみたいな。
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# by uk_alien | 2006-02-03 19:15 | film | Comments(2)

明るい食生活

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大抵のイギリス人は食べ物に関し保守的だ。

ロンドンで働くサラリーマン・ウーマンたちは積極的に各国料理レストランを楽しみ、味噌や蕎麦などの素材を買い込んで自宅で和食作りに挑戦する人達もいる。

しかし、労働者階級にとって、また、中流階級でもロンドンを少し離れただけで、そうした異国の食べ物は問題外となるようだ。日本の頑固親父が「洋食なんざしゃれたもんはオレの口にあわね~」というのと同じだろう。

問題はその「口にあう」保守的なものは何かという点にある。「焼きたてのししゃもと、さっと火であぶった黒はんぺんにちょろっと醤油をたらして酒を飲む」のが最高と考える日本のおやじを、「フライドポテトかポテトチップスでビールを飲む」イギリス人のおやじと比べると、いかに彼が栄養価の高い、しかもカロリーの低いものを食べていることがわかる。

都市を中心に徐々に変化してきているとはいえ、イギリスの典型的家庭料理といえば、冷凍のぶっといフライドポテトとこれまた冷凍のパン粉にくるまった白身魚のフライとこれまた冷凍のグリーンピースがどっかり皿にのっかったもの。これが文字通り毎日繰り返されている家庭も少なくないという。朝食はチョコレート味のシリアル、ランチは異様な色の出来合いの食べ物と甘い炭酸飲料とポテトチップスかお金があればマクドナルド、おやつはチョコレートバーという子供達は勿論野菜なんか食べるわけがない。

イギリス人と接するようになってすぐ耳についたのが、彼らの発する「い゛~」という音。胸が悪くなるようなものに対して発する音だが、主に食べ物系に関しこの音を発する。こういう感情をあからさまに表さない文化を背景とする私にとってはちょっと子供じみて見える行為だ。

例えば、
①シーフードは食べない30代友人は海老だけはむいてあれば食べるが、タパス料理なんかで頭付きで出てきたら「い゛~」を連発。
②マクビティのチョコレートビスケットだけで生きてるようなポッシュなご家庭出身の40代友人は日本食の話をきいただけで「い゛~」。においでもはらうように片手が宙を泳ぐ。
②友人が教える南ロンドンの小学校。8割近くがカリブ系の黒人の5歳児クラス。一日だけ招かれて日本文化についてのカルチャー・クラスを終えた後、海苔巻きや味噌汁を披露。びびりながらも純粋に興味をもって少しでも試そうとする黒人、インド・パキスタン系の子供達と対照をなしたのが白人の子供達。ほとんどは「い゛~」といって眉をしかめ手をつけない。「私はそれは食べないわ」とはっきりおっしゃってくれた子もいた。

実際にあった話。こないだのクリスマスに不幸にして20歳で亡くなったイギリス人男性。彼は物心ついてこのかた、フライドポテトと白パン、そしてたまのベークドビーンズ(煮た大豆をトマトケチャップを薄めたような液体につけて売っている多くのイギリス人男性の心の友)しか口にせず、医者や家族の意見も無視。しまいには抵抗力・回復力が徹底的に弱まり、3本の虫歯を抜かなければ感染死、抜けば出血死という状況に自らを追い込み、後者を選んで出血多量で臨終したという。

昨日旦那にこの超偏食青年の記事を見せたところ、彼は「職場の部下、Hに見せる」といって切り取った。Hは20歳の女性。野菜は一切口にせず、好物はマクドナルドのチキンバーガー、でも「バンズとチキンだけにして。ソースとレタスは一切抜いて」と注文する。

貧乏だった私の家では冷凍食品やレトルト食品は一切テーブルにはのらなかった。旬の素材より割高だったのと、母親が高齢すぎてそういう新しいものを使おうという頭は一切なかったからだろう。結果として安い魚や旬の野菜を使った安っぽい百姓料理が私の「お袋の味」となった。子供時代の経験というのは恐ろしいもので、私は今でもほとんど素材からしか作らず、この母親の安っぽい百姓料理が「日々の食事たるもの」と信じ込んでいる。私も所詮食に関し「保守的」なのだ。ししゃもとはんぺんで酒を飲む日本の頑固親父やチップスでビールをかっくらうイギリス人親父と同じように。

でも同じ「保守的」でもこの食べてるものの違いは大きい。文字通り致命的に大きい。
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# by uk_alien | 2006-02-01 20:42 | concept | Comments(6)

もっとイングリッシュに

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義理ママは数年前に夫が死去して以来一人暮らし。下手をすると週に4~5回かかってくる電話も、月一回かそれ以上のお招きも仕方がないし、親孝行と思っている。

今回、サンルームでお茶しているときに彼女はいった。

「気を悪くしないでね。でも最近どうしてもきになってたから言うわ。あなた、日本人の輪の中に自分をとじこめすぎなんじゃない?イギリス人だけの会社に勤めたり、イギリス人のお友達ともっとお付き合いして、もっとイギリスの文化にひたってみたら?それにもしかしたらあなた、コンピューター中毒なんじゃないかと思うの。日本人ってそういうのが好きじゃない?こないだお父様もお酒やらギャンブルやらをやめられない性格だったっていってたじゃない?そういうものって遺伝すると思うのよ。」

彼女の母親は旧チェコ・スロバキア人でイギリスに移住してきた後もチェコ大使館に勤め続け、結局死ぬまでイギリスにもチェコにも満足せずアンハッピーなままだったという。対照的に13歳で移民した義理ママにとっては暗い子供時代のチェコの思い出をすべて忘れ去る絶好の機会で、英語などまったく話せなかったにも関わらず、飛行機からおりたったと同時に「自分はイギリス人だ」と実感したそうだ。イギリスの文化に進んで溶け込み、今ではすっかり自分はイギリス人だし、イギリスにいて幸せだし、ごくまれに「あら?あなたどこの出身?」なんてきかれるとすごく腹が立つのだそうだ。

自分の母親と同じような、祖国にも移民先にも幸せを見出せない、そんな思いは私にはしてほしくない、という。

彼女の私を思う気持ちは心からありがたいと思った。私の母親など到底理解できない地の果ての話だし、もし父親が生きていたとしても私のためを思ってそんなことを口に出すなんざ、まずなかっただろう。

しかし彼女は以下の3点で間違っている。

1) 私は日本人の輪の中にはいない。これは単なる誤解だ。日本にいる家族と連絡をとるのは月に一回弱、現地の日本人の知り合いや友人に会うのもやはり多分月に一度弱、頻繁に会う親友は韓国人。勤めてた会社は生粋のイギリス法人で社員5000人の中で日本人は二人、ボスはイギリス人だった。新聞はデイリーテレグラフかデイリーメールでニュースはBBC。ラジオは朝のLBC。好きなコメディーはリトル・ブリテンで先週まで一番観てた番組はビッグブラザーだ。私が日本語を話す%は5%以下でそのほとんどは「信じられない」とか「つかれた」とかのぼやき系の独り言だ。

2) 彼女のいう「イギリス文化」の中には、カリブ系イギリス人、アフリカ系イギリス人、イスラム系、インド・パキスタン系イギリス人、中国系イギリス人等々移民イギリス人の文化は含まれていない。また、貧困層の白人文化や若者文化も含まれていない。彼女の属する白人中流家庭の文化は「イギリス文化」を形作るひとつの側面でしかなく、それを指して、もっと「イギリスの文化になじんでみたら」というのは浅はかだ。

3) すでに自国で言葉と文化を自分のものとして吸収した大人と、自我が未発達な子供とでは異文化への対応のプロセスはまったく異なるという点を根本から無視している。彼女は後者のプロセスをたどった典型的な例で彼女の母親は前者の(中でも異文化不適応型の)典型的な例だ。

これらの点をどうして誤解/無視して話が持ち出せるのか不思議だった。学校を出てから一度も働いたことがなく、極貧の苦労を微塵も経験したことがなく、夫が残した不動産と預金の収入で未亡人になった以降も一番高額な課税対象範囲にゆうにとどまっている白人中流階級有閑マダムの無知加減が、私によかれと思って口にしていることがわかるだけに腹立たしく感じた。

しかし「あなたにはわからないわ」では、異文化が共存しあう明るく忍耐強い英国社会は成り立たない。ここはきちんと自分の立場を説明するべきだ。

まず、1)が誤解である点を指摘した。2)に関しては本題から逸れると思い深く追求しなかった。ただ、3)の説明とあわせて、私という人間は既に大人として出来上がっていて、、白人の中流階級文化をどんなに理解してもそれは「私の文化」ではない旨指摘した。大人の移民者にとって、移民先で見出す幸せは単に現地の文化に溶け込む努力をしたからといって子供のように簡単に得られるわけではなく、「移民者としての幸せ」を大人として見出していく難しいプロセスである旨、在英15年の韓国人の友人の例を出しつつ説明した。

「コンピューター中毒」の件に関しては実際立ち上げたウェブサイトを見せて、日本人・日本・日本語とは一切関係ない旨説明し、そのウェブサイトもいわゆる趣味の写真の延長であると説明した。

「ほら、私コンピューターとかぜんぜんわからないじゃない?だからどうなのかしらと思ってしまったのよ、紅茶のおかわりはいかが?」

私がもし、イスラム教徒だったら、インド・パキスタン系だったら、黒人だったら、根本的に違う立場を相手がわかろうとわかるまいと強く主張するような反応をしていたのだろうか。でも私は日本で生まれ育ったから私にできる範囲で相手の考え方や、相手の立場やお互いの関係を重んじつつ相手に接するのだ。それが好む、好まざるをえず、私らしさの一部なのだ。
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# by uk_alien | 2006-01-30 02:35 | family | Comments(4)

建て増し申請却下控訴の結果

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家はこの景色に惚れて予算を大幅にオーバーして購入した。ローンがずっしり重い。

ちょうど一昨年の同時期、この景色をサンルームから楽しみたいと思い、地域の担当オフィス(カウンシル)にサンルーム増築の許可申請をした。一応隣には話しておこうと夫婦を招き、図面を見せて説明をした。「ああ、うちらはぜんぜん構わないわよ。いいわね~。」とにこにこして帰ったが、締切日の2日前に彼らは私達に何の相談もなく正式にカウンシルへ反対な旨通知した。バトル開始。妻の方は近所でも名の通ったビッチで、私達が越して来る前も両隣と激しい問題をおこしてきたヒストリーをもつつわものだ。

ただ、彼ら(というか彼女)の気持ちもわかる。われわれのうちは東向きの2軒長屋(2軒がつながってる)で彼らは北側にあたる。うちらが何かを立てればちょくせつ彼らの日当たりに影響する。しかも彼女は自他ともに認めるお日様信仰者。

カウンシルは私たちの申請を却下。とりあえず控訴に出る。ただなんだからやって損はない。控訴結果が今日レターで届いた。残念ながら結果は×。ま、4.5mの増築だからでかすぎるよね。却下の理由をよく読んでみると4.5mのかわりに3.0mならいけそうだ。これから業者と相談して、いけそうだったら3mで一から申請のしなおしだ。

この件に関しては恐怖と怒りといじわるさの感情のまじった1年間だった。はっきりいって疲れた。でもこの控訴のプロセスは非常に公正・公平なものだった。現場視察に来たオフィサーの態度や言動は尊敬に値するものであったし(現場視察時にカウンシルの担当者も同席したが、この二人のランクの違いは人間性としてにじみでていたような気がする)、控訴を取り扱う担当オフィスからのレターと却下理由分も非常に明瞭で納得のいくものだった。

イギリスが成熟した公正・公平な社会を尊ぶ国家だと思い知らされるのはこういうときだ。
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# by uk_alien | 2006-01-24 23:19 | conservatory | Comments(0)

日曜日はローストチキンの日

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初めてローストチキンを食したとき、なんて味もそっけもない料理だと思った。しかも肉汁にワイン、塩コショウ、小麦粉を入れて作るグレービーソースは私の理解の範疇外だった。

日本食は下ごしらえ段階から綿密に、そして出来上がりの微妙なお味で勝負(私の大雑把料理はちがうけど)みたいなもので、必然的に私の味の好みもそういったものに傾く。しかし、この食文化の貧しいイギリスに5年住む、ということはそうした好みも変わっていくということで、いまや私は肉食動物。冷えたラムにくらいつくときなんざ狼気分。いまとなってはチキンの異なる部位の微妙なテクスチャーからフレーバーまでしっかりとエンジョイできるようになった。

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昔「○曜日はカレーの日」なんてコマーシャルがあったが、ここでは日曜のランチがローストチキンだ。ローストされたじゃがいもとさつまいもの味ににたかぶの一種とともに食する。こういう西洋料理は私の範疇ではないので旦那にまかせた。奮発してオーガニックのチキン。く~、美味しい。たまらん。(と思う度に自分の味の好みが変わったことをしみじみと思い出されるのだった。)

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# by uk_alien | 2006-01-24 19:34 | food & drink | Comments(0)

おっ給料があがったんだも~ん

イギリスにも年に一回の昇給がある。うちの旦那が自慢げに会社からのレターを見せてくれた。う~ん、よくやった。えらい。昨年まではダブルインカムだったのだが、私が仕事を辞めて主婦になったため、ちょっとの収入アップでも本当にうれしい。それに最近旦那は日本人みたいにがんばって働いている。よし、お祝いだ。

外食の観念はイギリスと日本では非常に異なる。多分食文化が極端に貧しいせいだろう。フランスや日本では美味しいものが気軽にレストランやカフェで食べられる。もし本当に豪華なものが食べたければそういうチョイスもあるし、お店で買うサンドイッチも決して悪くない。外食は高額=特別なときだけというイギリスは日本のファミレス程度の味のものでも非常に高額で、しかもお酒の値段はレストランでは数倍にはねあがる。割りに合わない。

迷った挙句、やっぱり自分達で作ることにした。そのほうが素材(何よりもワイン)に思いっきしお金もかけられる。

で、これがお祝いディナー。

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まずはシーフードのライムと白ワインさっと煮。ポピーの種入り手作りパンで食す。ワインは白のイタリアン・ガビ。く~うまい。

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メインはオーガニックのラムをにんにくとローズマリーでミディアムレアに焼く。つけあわせはフレンチレシピで揚げたジャガイモ(ゴージャス)といんげんのさっと煮。たまらん。

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ワインはブルネロ ディ モンタルチーノ(と読むんかい?the Brunello di Montalcino)の2000年もの。天国。

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そしてデザートは...作る暇がなかったので買ってしまった。でも美味しかった~。そして最後の締めはスペインのミディアムハードチーズとフレンチロックフォートとブルーブリー。日本に住んでればこの量は絶対に食べられなかったし、飲めなかった...と思う。チーズをデザートに食べれるようになってしまった私の胃袋にデザートワインで乾杯。
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# by uk_alien | 2006-01-20 19:35 | food & drink | Comments(0)

カメラ小僧のイギリス帰化人。愛機はライカMモノクローム。はたと思い立って始めた大人ピアノ初心者で目下楽しくて仕方がないピアノ練習と音楽理論の勉強をブログに綴る日々 ー London UK


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